2010年10月11日
コンヴィチュニー&ゲヴァントハウスのベートーヴェン:交響曲全集
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この演奏はLPの時にも聴いた記憶があるのだが、印象は極めて希薄だった。
ほこりをかぶっていてシミだらけ、おまけにカビ臭い。こんな風にコンヴィチュニーのベートーヴェンを思っていた人は多いに違いない。
自分もその口であったが、今回あらためてCDになったものを聴いて仰天した。
廉価盤LPの音が悪かったのか、あるいは自分がぼんやり聴いていたのかは不明だが、CDになってあらためて接したら、そのあまりの瑞々しさに驚いてしまった。
こんなに新鮮で生き生きとした演奏だったとは。
もちろん、基本的にはオーソドックスなのだが、単に伝統的なものの上にあぐらをかいたものではなく、確信に満ちた表情や揺るぎのない安定感に支えられ、オーケストラの響きはほれぼれするほど美しい。
表現はいたってオーソドックスなのだが、出てくる響きの何と豊かなことだろう。
渋くはあるけれど暖かくしっとりとした弦楽器、柔らかな音色の管楽器など、これほどのきれいな音はもはや今日のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団からは聴くことは不可能である。
どの曲を採っても、まったく格調正しい表現である。
しかも旋律はのびやかに歌い、アンサンブルはすみずみまで克明・明確である。
テンポも妥当だが、それがいかなる部分でも変動せず、そこに音楽的な頑強さが示されているのが大きな特色である。
しかも間(ま)が充分に取られ、ゆとりのある呼吸が乱れることがない。
アーティキュレーションが楷書風で、内声部のリズム処理も堅固そのものである。
「第9」の声楽部も着実無比といえる。
全9曲の出来ばえにムラがないのもこの全集の特色で、序曲も立派。
録音も約50年近くも前のものなのに、どんな最新録音よりも瑞々しく聴こえるのは全く不思議だ。
奇数番号、偶数番号ともに出来ばえに凹凸がなく、強力にお勧めしたい。
同一オーケストラの第6番《田園》のコロムビア盤(COCO75405)は本全集とは別録音である。
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