2010年10月14日
イタリアSQのシューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」&第13番「ロザムンデ」ほか
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イタリアSQの新盤は、近ごろさほど話題にならないが、もっと高く表現される必要のある名演であろう。
「死と乙女」は1979年に再録音されたもので、ヴィオラがディーノ・アッショーラに代わっている。
そのせいかアンサンブルもいっそう充実していて、音色もさわやかだ。
作品の悲劇的なドラマやロマンを鮮烈に描き出した彼らの表現は、見事な造型感覚もがすばらしく、抜群のアピールが聴き手を圧倒する。
これは清新な情感を湛えた彫りの深い表現である。
1965年録音の旧盤の方が開放的なカンタービレが輝かしいが、この新盤にはただならぬ雰囲気が漂っている。
引きしまった出来ばえで、音色は明るいが、強い表現意志のみなぎった重量感にとんだ演奏を聴いていると、運命の重圧にあえぐ巨人の熱い吐息を浴びるような思いがする。
第1楽章第2主題冒頭の動機や、第2楽章のコーダにみられる、あこがれとのムードの対比のさせ方も、まさにベテランの芸だ。
「ロザムンデ」では、シューベルトの抒情にみちた旋律を柔らかい抑揚をもって歌わせた流麗典雅な演奏だ。
「ロザムンデ」は全部で4回録音されたこの曲の最後の1976年録音で、旧メンバー最後の力作でもある。
この四重奏団のもつ多面的なカンタービレは、この曲で最も多彩な効果を発揮している。
第12番「四重奏断章」と第15番も秀演で、第2ヴァイオリンとヴィオラが奏でる豊かな肉声と、その内声が見せた鮮やかな音色の変化が記憶に刻み込まれる。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年06月12日 09:56

2. Posted by 和田 2020年06月12日 14:11
イタリアSQは弦楽四重奏団が極端に少ないイタリアに生まれた輝かしいカンタービレに満ちた至宝ですね。
イタリアSQは、弦楽四重奏曲の創始者としてのハイドンとボッケリーニに限りない愛着を抱いていて数回に及ぶ再録音を行ってきました。ハイドンの音楽が持つ人懐っこい暖かさや、ユーモラスなセンスは、この四重奏団の体質とうまくマッチしており、ご指摘の古い録音からもその相性の良さがにじみ出ています。ハイドンの楽譜にひそむ喜びや悲しみを機敏に察知し、それを明快にクリアしていく至芸には啞然とさせられます。
イタリアSQは、弦楽四重奏曲の創始者としてのハイドンとボッケリーニに限りない愛着を抱いていて数回に及ぶ再録音を行ってきました。ハイドンの音楽が持つ人懐っこい暖かさや、ユーモラスなセンスは、この四重奏団の体質とうまくマッチしており、ご指摘の古い録音からもその相性の良さがにじみ出ています。ハイドンの楽譜にひそむ喜びや悲しみを機敏に察知し、それを明快にクリアしていく至芸には啞然とさせられます。