2010年10月21日
ボニーのモーツァルト:歌曲集
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モーツァルト歌曲のレコードでは、私はまず初めにリタ・シュトライヒによる録音に心奪われた。
その艶なる風情にあふれた歌唱は、シュトライヒ・ファンにとってはたまらない。
シュヴァルツコップとギーゼキングによる録音も素晴らしい。
表現の深さという点ではこれがピカイチだろう。
しかし、ボニーのCDを聴いてからは、こればかり繰り返し聴くようになった。
ボニーの声はクリスタルのように透き通っている。きらきらした透明な声は彼女独特のものだろう。
無垢なボーイ・ソプラノのように響く時もある。
そしてその透明さが情感の薄さを思わせることもないではない。
たとえば彼女のシューベルトやシューマンなどはもっとあふれる情感や情念を見せてもいいと思う。
でもしばらくすると、彼女はロマン的な感情をその透明な響きのなかに表現する実に繊細な音楽性をもっていることに気づいて、ああこれは独特の歌手だと感嘆するのだが……。
彼女のモーツァルトにはもっと素直な直截の喜びがある。
彼女の資質と作曲家の資質がよほど相性がいいのだろうか。
モーツァルトを歌うボニーは、その澄みきった歌声で私たちをたちまち天上世界に誘ってくれる。
有名な《すみれ》のようなバラードひとつとってみても、その細やかで繊細な語り口、節度ある感情移入など、このアメリカ出身のソプラノ歌手が際立った知性とみずみずしい感性の持ち主であることがわかる。
《春への憧れ》の天真爛漫さ、フランス語歌曲《静かな森で》のエレガンス、《夕べの想い》に漂う哀愁と瞑想的な深い味わいなど、知性と柔軟な感性から生まれた格別の名唱ばかりだ。
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