2010年10月24日

ヴァント&ケルン放送響のブルックナー:交響曲全集


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ヴァントが最初に本領を発揮した仕事と言えば、やはり1974年から81年にかけて、ケルン放送交響楽団とともに録音したブルックナーの交響曲全集ということになるだろう。

フォルムを重視した細部のテンポ設定、テクスチュア造形の細部の明晰さなど、どれをとっても新盤に勝るとも劣らない演奏。

ブルックナーは田舎者らしい無邪気な野放図さと、カトリック教徒として神の威光にひれ伏す敬虔さを合わせ持っている。

後者に焦点を合わせれば、彼の交響曲を華麗な大伽藍のように彩らせることができる。

ヴァントはそれに対して、ブルックナーの田舎者らしい素朴さに的を絞り、そこから北ドイツ的、プロテスタント的な禁欲さを引き出している。

だからひびきはけっして華麗になったり、超越的な高みに達しない。

ひびきはつねに心のあり方の問いとして内面化され、内にこもりがちとなる。

そんな艶消しのひびきにもの足りなさを感じる聴き手もいよう。

しかし人間的な誠実さとは、そんな内向きのひびきをおびる、というのがヴァントの確信のようだ。

基本的に即物主義育ちのヴァントの解釈は、スコアに対して非常に誠実であるが、それはスコアの指示の意味を深く探りながら、それを完璧な音楽的効果として提示するということに尽きる。

デュナーミクの緻密な操作やテンポ感覚に優れたヴァントは、また音響構築におけるパースペクティヴに関しても、常に非凡なセンスを見せており、伝統に培われた質実剛健な音への配慮が、そうした各要素を総合し、まとめあげるとき、作品は余分な脂肪をすべて削ぎ落とした、引き締まった相貌のもとに、この上なく立体的な展望を開示することになる。

たとえば、交響曲第5番には、そうしたヴァントの特質がもっとも輝かしく反映されている。

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classicalmusic at 17:17コメント(0)ブルックナー | ヴァント 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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