2010年11月06日

E・クライバー&ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」


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エーリッヒ・クライバーはこうした新古典主義的な、端正な音楽をつくることのできる指揮者である。

これは、その好例で、やや速めのテンポで引き締まった表現を聴かせる。

これを聴くとつくづくカルロスに似ていると思う。いやカルロスがエーリッヒに似ているのだ(優美さにおいては2世が、音楽のスケールの大きさにおいては父の方が優っているように思う)。

弦の歌わせ方のしなやかさ、そこから立ち上る香気は天下一品。

メラメラと燃えさかる情熱を、きりりと引き締まった形に封じ込めたもので、実に颯爽、精悍である。

全楽章を通して演奏に漲る強烈なエネルギーと張り詰めた緊張感が凄まじく、あらゆる表現が実に明快に示されている。

全楽章を通しての劇的な構成も見事で、第一級の職人芸であると同時に優れた知性を感じさせる指揮ぶり。

バランスのとれた健全な精神がもたらす人肌の温もりとヒューマンな魅力に溢れた《英雄》だ。

1955年の録音なのにスタイルの古さをまったく感じさせないのも注目に値する。

ウィーン・フィルの冴えたアンサンブルの美しさも、この演奏の様式的な特色にふさわしい。

エーリッヒには1950年盤(コンセルトヘボウ)もあるが、演奏の質はこの盤と全く同等。

世間の評価が低いので、早めに廃盤になる恐れあり。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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