2010年11月06日
E・クライバー&ウィーン・フィルのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
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エーリッヒ・クライバーはこうした新古典主義的な、端正な音楽をつくることのできる指揮者である。
これは、その好例で、やや速めのテンポで引き締まった表現を聴かせる。
これを聴くとつくづくカルロスに似ていると思う。いやカルロスがエーリッヒに似ているのだ(優美さにおいては2世が、音楽のスケールの大きさにおいては父の方が優っているように思う)。
弦の歌わせ方のしなやかさ、そこから立ち上る香気は天下一品。
メラメラと燃えさかる情熱を、きりりと引き締まった形に封じ込めたもので、実に颯爽、精悍である。
全楽章を通して演奏に漲る強烈なエネルギーと張り詰めた緊張感が凄まじく、あらゆる表現が実に明快に示されている。
全楽章を通しての劇的な構成も見事で、第一級の職人芸であると同時に優れた知性を感じさせる指揮ぶり。
バランスのとれた健全な精神がもたらす人肌の温もりとヒューマンな魅力に溢れた《英雄》だ。
1955年の録音なのにスタイルの古さをまったく感じさせないのも注目に値する。
ウィーン・フィルの冴えたアンサンブルの美しさも、この演奏の様式的な特色にふさわしい。
エーリッヒには1950年盤(コンセルトヘボウ)もあるが、演奏の質はこの盤と全く同等。
世間の評価が低いので、早めに廃盤になる恐れあり。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年07月05日 10:24

2. Posted by 和田 2020年07月05日 13:10
9番は確かにウィーン・フィルですが、5番と6番はコンセルトヘボウだったと記憶しています。3番はコンセルトヘボウ盤もあります。「田園」は悠然たるテンポと、たっぷりとしたフレージングでとうとうと歌ってゆくところ、いずれものどかな春の情景のようです。物静かな動きの中に繊細な情緒が微笑んでいます。この曲は妙に手を加えるより率直にあっさりとやったほうがほいのですが、エーリッヒは誇張なく表情を生かして、節度ある情緒を上品に生かしたところにこの演奏の成功がありました。
3. Posted by 小島晶二 2020年07月05日 22:19
追伸。おっしゃる通り, 私の勘違いでした。
4. Posted by 和田 2020年07月05日 22:25
どういたしまして。