2010年11月16日
アバド&ロンドン響のヤナーチェク:シンフォニエッタ
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ヤナーチェクの《シンフォニエッタ》には、いくつかの優れた録音があり、個人的には1965年のセル=クリーヴランドや80年のマッケラス=ウィーン・フィルなどが挙げられるが、今では、他にいくつかが挙げられよう。
そうした中で、1968年のアバド=ロンドン響の録音も、なかなかの好演なのであるが、それが登場した時、あまり注目されなかったのは、ヒンデミットとプロコフィエフの曲に挟まれていて、目立たなかったからかもしれない。
どちらかというと地味な書法を見せるヤナーチェクの音楽のなかで、これは珍しく明るく開放的だ。
第1楽章の冒頭のファンファーレが高らかに鳴り響く。
12本のトランペットが用いられ、実に広々とした空気感が生み出される。
だからたいていの演奏は色彩的な輝きに満ちた壮大さと、たたみかけるようなリズムで聴かせる。
ところがアバドはそれをできるだけ抑制し、ヤナーチェクの心の奥底に秘めた情念にふれようとしている。
金管のひびきは鈍重で沈みがち。表面はどんなに派手に振る舞っても、それは逆に心の悲哀感を焙り出すのに役立つばかりだ。
そんな複雑な心のひだに、これほどの共感と親密感をもってふれ得た演奏もまれだ。
アバドは、外面的な効果などには一切目をくれず、純音楽的アプローチを見せており、作品に秘められた作曲者のメッセージを叫びにも似た気迫で再現している。
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