2010年11月17日
ブーレーズ&シカゴ響のバルトーク:バレエ《中国の不思議な役人》&弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
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バルトークの2作のバレエ音楽にいち早く目を向け、全曲録音したのはドラティだったが、その次の功労者はブーレーズといえるかもしれない。
彼はストラヴィンスキーの3大バレエ同様、先鋭的な解釈と表現で刻み直し、同作品の真価を再認識させたのである。
思えばこの《中国の不思議な役人》はディアギレフの依頼によって書かれた作品。
作風にしてもストラヴィンスキーの《春の祭典》や《ペトルーシュカ》を彷彿とさせるものがある。
ブーレーズの興味は、オーケストラをマキシマムまで駆使した逸品を掘り起こすという意味で一貫性がある。
この演奏によってバルトークの作品群がさらに潤沢になり、またオケの演目に新たな名品が加えられたのも事実である。
ブーレーズは、シカゴ響の名人芸をフルに使って、現代のリファレンス的な名演を実現させた。
緻密な合奏力といい、音色の変化といい、抜群のニュアンスの豊かさを聴かせる。
そしてブーレーズ自身の円熟味が、かつてのラディカルさを間引く結果にもなった。
《中国の不思議な役人》では、マジャール的な土俗感には目もくれずに、スコアから、鮮やかなリズムと峻烈なハーモニーを引き出すことに成功。
エロスと欲が渦巻くストーリーを表面的になぞることなく、名人集団のシカゴ響を縦横に操りながら、のっぴきならない緊張感を放射しつつ、高揚感に富んだ瞬間を形成している。
《弦チェレ》も、曖昧さが介在する余地のないアプローチを繰り広げながら、BBC響と吹き込んだ旧盤に比べて、随所にしなやかな表現が盛り込まれている。
とりわけ、第3楽章では、緻密な響きの大海原の表情を刻々と変化させ、平均律の殻を打ち破るように、ティンパニや弦のグリッサンドが精妙に明滅していくのが印象的である。
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