2010年11月20日

チョン・キョンファ&ショルティのバルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番


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アシュケナージとショルティによるバルトーク:ピアノ協奏曲全集がカップリングされているが、その演奏内容については別項に書きたい。

チョン・キョンファが特に輝いていたのは、いったい何時だったというべきなのだろうか?

そうした問題を考えるには、このバルトークの2曲の協奏曲を収録したディスクは、ある一定の解答を示してくれるに違いあるまい。

とりわけ、1976年に録音された第2番(オケはロンドン・フィル)の演奏は、ピリピリとした緊張感に貫かれ、なべてのものがピン・ポイントの明快さで把握されており、いかにもチョン・キョンファらしいところがよく出ている。

それは1983年に録音された第1番(オケはシカゴ響)と比較してみても、ある程度明らかといえるだろう。

とりわけ第1番の凄まじさは絶後、迫力あるオケのサポートと相まって、鳥肌の立つ瞬間が頻出する。

鬼気迫るような怖ささえ感じられる演奏だ。

20代後半と30代半ばの、まさに音楽にのめりこみ猛進していた時期の演奏で、チョンのひとつのピークを物語る上では最良のものであろう。

気迫のこもった歌心と鮮烈な技巧、そして強力な集中力など、心の底を揺さぶられるようなバルトークである。

この種の音楽はチョンがもっとも得意とするだけに、ここでもひたすら音楽に没入し、比類のない凝縮度の高い演奏を実現している。

高いテンションを維持しながらそこにバルトークにふさわしい歌をもりこみ、音楽の起伏を巧みに描き出す奥行きのある表現を聴かせるところもこのヴァイオリニストならではで、テクニックの切れ味も申し分ない。

身を切るごときバルトークの鋭敏な音楽から、これほど情熱と暖かさを引き出した演奏はあるまい。

これら2曲の収録時と比べると彼女の芸風は変化してきているが、少なくともバルトークを弾くにはこの頃がベストだったのではなかろうか。

両曲の演奏を通して、指揮者ショルティが圧倒的な存在感を示している点も、忘れずに指摘しておきたい。

作曲家に対する深い共感に裏打ちされたショルティの指揮は、チョンの火の玉となったようなソロに一歩も譲らない。

チョンとショルティの、この音楽へのシンパシーと感性の同一性を感じないではいられない。

協奏曲録音における一つの理想といえるだろう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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