2010年11月21日
N・ヤルヴィ&イェテボリ響のシベリウス:交響曲全集
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エストニア共和国出身のヤルヴィは、シベリウスの北欧的な雰囲気や、楽想の性格を見事に自分自身のものとしている。
第1番ではヤルヴィの個性ともいえる多血質が表明され、悠然としたテンポで雄大な音楽をつくり、彼の情熱的な性格が両端楽章に示されている。
オケにはやや粗削りなところもあるが、弦が清澄でいかにも北欧的。
第2番はきびしく端然とした造形でまとめられていて、冒頭のテンポも速く、動感と歌謡性が巧みに組み合わされ、輪郭の明快な音楽をつくっている。
ディテールも細かいところまで配慮され、それぞれの楽章の特色を適切に表出。
表情に荒々しいほどの力がみなぎり、西欧風のシベリウスとはまったく異なった、豪快で緻密な音楽を聴かせるのがユニークだ。
第3番はかなり線の太い表現で、響きにも独自のテクスチュアと厚みが感じられる。
それが決して重くならず、不思議に爽やかな印象を与えるのは、作品の運動性を適切に生かしているためだろう。
ヤルヴィの個性が強く示された解釈といってよい。
第4番は暗い情感にほのあたたかさが加わったような表現。
オケの音色はやや粗削りだが、アンサンブルとしてはよくまとまっており、作品を構築的に整理している。
ヤルヴィは強い構成力で、要所をよく引き締めて、第5番を明快に表現している。
北欧的な旋律をのびやかに歌わせ、金管を情熱的に強奏するなど、スケールの大きさも際立っている。
特に終曲には劇的な迫力があり、ヤルヴィの特色をよく表しているといえよう。
第6番は北欧的とでも形容したい澄み切った弦の音色が、柔らかくデリケートな音楽をつくっている。
全体が純音楽的で滑らかに流動する演奏で、空間的な広がりがある。
北欧の風土における洗練とは、こうしたものなのかも知れない。
第7番はいつものようにヤルヴィの手作り的な温かさを感じさせる音楽だ。
解釈としては素直で、楽想の形を明確に表出している。
そこにはヤルヴィの一種のリアリズムがあり、それは現代的感覚と評してもよく、重要な動きがシベリウス特有の管弦楽法に埋没することがない。
このあたりにヤルヴィの大きな特色がある。
スケールが大きく、壮大なコーダの充実感はなかなかのものだ。
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