2015年04月27日
エマーソンSQのバルトーク:弦楽四重奏曲全集
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完成度の高い技術と、洞察の深い肉太の音楽性をもつアメリカのエマーソンSQにとって、バルトークの弦楽四重奏曲は自らの音楽的資質を表現する最適な素材だった。
リーダーの1人、ドラッガーは、バルトークと親交のあったフェリックス・ガリミールからバルトークの真髄を1970年代に伝授され、次第にレパートリーに加えて、1988年、カーネギー・ホールでのデビューに当たり全6曲を1回の公演で演奏して注目を集め、そのライヴの余勢をかって一気に全曲録音を完成させた。
曲により第1と第2ヴァイオリンが交替し、一晩に全6曲を奏き通すこともあるという彼らの精力的なバルトーク演奏には、鋭い知性と豊かな感性とが見事に調和した、エマーソンSQの理想のアプローチを垣間見る思いがする。
この団体は、バルトークが見せる妥協のない厳しい造形を明確に浮き彫りにして、いささかの曖昧さも残さない。
そして、優れて集中的なバルトークの表現を、迫真の緊迫感をもって再現している。
音楽の振幅を思い切って幅広く拡大した演奏である。
その拡大は強奏はもとより、ことに弱音の表現力を心底から信頼して行なわれているのが特徴である。
激しい求心力と頼り甲斐のある安定感とともに、弦楽器ならではのテクスチュアの多様さも耳を引き付ける。
第5番のフィナーレなど、その典型である。
その反面、第2番や第6番の終楽章がそうなのだが、しなやかな、しかし聴き手の肺腑を抉らないではおかない深々とした歌が歌われ、演奏がひとつの要素に片寄って単調に陥るのを防いでいる。
これは彼らの純粋で温厚な性格と、疲れを知らない精気を鼓舞させて完成した極めてダイナミックにして情熱的なバルトークであり、彼らの類い稀な芸術性の高さを証明している。
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