2010年12月12日
ムーティ&ウィーン・フィルのモーツァルト:交響曲第40番&第41番「ジュピター」
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原典主義者ムーティがウィーン・フィルを得て、現代の言葉でモーツァルトを語った演奏だ。
ムーティのモーツァルトは、主観と客観の絶妙なバランスに支えられており、現代の聴き手にとってモーツァルトの交響曲を聴くことがいかに大きな慰めとなり、また救いとなるかを、現代の言葉で証明して見せた魅力と説得力がある。
モーツァルトだからということで距離をおくことなく、実にのびやかに歌い上げた爽快感あふれる演奏であり、時に見せる大胆なアプローチも、かえってモーツァルトの新しさを掘り起こしている。
第40番は明快で、いかにもムーティらしい率直な演奏だが、求心的エネルギーが異例の気迫と説得力を作り出している。
それはこの交響曲を魂の叫びとして再現した劇的演奏であり、ムーティの燃えるような眼差しが灼熱の音となって噴出したかのようだ。
そんなムーティにとっては、当然、クラリネットを含む第2版が採用されている。
ムーティの《ジュピター》は、この作品がモーツァルトの《英雄》交響曲であることを鮮烈に実感させる。
これほど力強く、壮麗で、また劇的な演奏は前例がなく、演奏が放つエネルギーに圧倒される。
ウィーン・フィルも怖さすら感じさせる演奏を聴かせている。
指示された反復記号も原則的に忠実に守って、作品のメッセージのすべてが実に生き生きとした音となって響きわたっている。
ウィーン・フィルを得たことも大きな魅力で、現代に聴くモーツァルト像が、こんなにもつややかな音色とふくよかな表情で再現された例もないといえよう。
美しく、ロマンティックな夢に誘われる現代のモーツァルト演奏だ。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年08月10日 10:13

2. Posted by 和田 2020年08月10日 12:24
ムーティのモーツァルト交響曲の録音場所は総てウィーンの黄金ホールと呼ばれるムジーク・フェラインのグローサー・ザールで1870年オープンの歴史的な演奏会場です。ご存知のようにこのホールは内部装飾の豪華さもさることながら、特に残響音の潤沢なことで知られています。5枚のCDのどれを聴いてもすぐに気が付きますが、オーケストラの瑞々しい余韻がホール全体に広がっています。残響時間は1680人満席時で2秒なので、当然聴衆のいない録音時には更に長くなります。曲種によってはそれがいくらか煩わしいこともありますが、このモーツァルトに関しては指揮者ムーティの音楽的な意図を明確に伝えることができていると思います。