2010年12月14日

F=ディースカウ&エッシェンバッハのシューマン:「詩人の恋」「リーダークライス」


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シュライアーがシューベルトの「水車小屋」を十八番としているように、フィッシャー=ディースカウの十八番は、この「詩人の恋」といってよいだろう。

彼は6種類のディスクを残しており、そのいずれもが名演で、それらを凌駕する他の演奏は見当たらないといっても過言ではない。

その中で、成熟度やバランスの点でエッシェンバッハとの共演盤が一地頭抜きん出ている。

この歌曲集では、シューベルトの場合と違い、メロディに代わって短いモティーフが主導する。

それらは若者の初々しい情感と男性的な気概、心理の微妙な変化、ユーモアと身を切る自虐、夢と現実のもつれなどを隈取っている。

フィッシャー=ディースカウは、そのモティーフの変化の振幅に鋭敏に反応し、微妙な陰影を連続技で浮き彫りにしてくる。

その情報量の多さは驚異的で、その点、フィッシャー=ディースカウに勝る歌い手はいない。

エッシェンバッハも、それに劣らぬ鋭敏さで対応している。

ロマン性と近代性の融合という歌曲集「リーダークライス」の主眼に最も鋭く迫っているのが、フィッシャー=ディースカウ&エッシェンバッハ盤だ。

この歌曲集の前半は主に夜と森の神秘感が、後半は近代的な自我意識の探究が主導する。

演奏者は、まず第1曲で夕暮れの森の中での孤独感を内面の自我意識の認識に結びつけられるかどうか、そこにこの歌曲集の演奏のいちばんのポイントがある。

フィッシャー=ディースカウは、孤独感が自我意識を誘い出す心理的な過程を見事に浮き上がらせ、エッシェンバッハのピアノはその内的構造を手にとるようにわからせてくれる。

そうした演奏は曲の説明に陥り、散文化しやすいが、このコンビは決してポエジーを失うことなく、1曲1曲を同じ的確な解釈と説得力で展開していく。

その語りと歌とのバランスは精妙この上ない。

多くの演奏が森と深層心理の深みに足をとられ、晦渋さに陥りやすいなかで、わかりやすい展開とまとまりの良さという点も特筆に値する。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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