2010年12月07日
ミュンシュのルーセル:交響曲第3番&第4番
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1966年度の仏ADFディスク大賞受賞盤。
ルーセルの最も円熟期に書かれた2つの交響曲。
ドビュッシーやラヴェルといったフランスの印象派の伝統から受け継がれた音感覚や、またドイツのロマン派の暗い情感が、新古典主義的な明快な形式感の中に含まれているルーセルの複雑な響きの綾を、ミュンシュは各テーマの表情がくっきりと浮かび上がるようにしながら、彼ならではの丁寧な演奏を行っている。
ミュンシュらしい豪快で阿修羅の如き演奏で、2曲とも驚くほどの集中力によって充実した力感と緊張をつくり出している。
音構造はもとより、すべてが明快に把握され、ルーセルの和声法や対位法的書法の的確な処理、抒情的な表現を必要とする部分の豊かな歌、管楽器の明るい色彩美も特筆したい。
タクトをプロペラのように振り回すミュンシュの背後には、メラメラと立ち上る真っ赤な炎が見えたに違いない。
この狂熱の炎によって、作品を構築する枠組みすら溶解しかねないほどである。
しかし、ミュンシュは、造型を崩壊させる一歩手前で踏みとどまる。その寸前の凄まじい美しさが、この演奏の価値である。
第3番第1楽章の緊張感みなぎる出だしから、それは明らかである。
ここにはミュンシュのすべてがあるといってよく、ルーセルの交響曲がこれほど興趣にみちて聴こえる演奏は滅多にない。
現在はかなり楽団員の年齢が若返ってインターナショナルな響きを出すようになったラムルー管弦楽団だが、この録音ではミュンシュとの相性が大変良く、当時のフランスの響きを楽しめる。
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1. ロベルト・ベンツィ/アーネム・フィル モーツァルト「リンツ」より,ティル他(自主制作LIVE'91/'92) [ 【素晴らしきクラシック自主制作盤の世界】 ] 2011年06月26日 03:26
日本ではExtonから発売されたマルティン・ジークハルトや小林研一郎のCDにより
アーネム・フィルの存在は認知されるようになりましたが、その昔はGelders Orkestと呼ばれていました。
このExtonでの録音が開始する前のオーケストラという意味でも興味深い演奏かと思います