2011年01月03日
ショルティのハイドン:オラトリオ「天地創造」
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異論の向きもあると思われるが、ここではショルティ盤を第一に推したい。
子供が手近かなものを叩いて音を出すことに純なよろこびを感ずる。そこにひびきの原点がある。
ショルティはこの子供らしい無邪気なよろこびを片時も失っていない音楽家だ。
ハイドンは一見謹厳実直だが、生涯無邪気な子供の目を失わず、その一方で賢者のバランスのとれた老練な省察も見せる。
このふたつのファクターがうまく噛み合って生まれたのがこのオラトリオだ。
曲は天地創造の現場に居合わせるわくわくするよろこびに満ち、大きなスケールで広がってゆく構成力にも欠けず、リアルな神秘感をたたえ、実に感動的だ。
ハイドンが途方もないゆたかな想像力と音楽的な才能に恵まれていたことを実感させる音楽だ。
その無邪気なよろこびと、スケールの大きな構成が見事に浸透し合っている点で、ショルティの演奏をしのぐものはない。
まるでハイドンから直接棒の振り方を教わったと思わせるほどの憑依を示している。
この「天地創造」の演奏でなによりも必要なのは、天地がはじめて開けてゆく光景に目を見張る初心の感動である。
その感動がひびきとなって聴き手に伝わって来なければ万全とはいえない。
ショルティにはその生き生きした無邪気な感動があり、その無邪気さはまたハイドン自身のいちばんの持ち味でもあった。
しかしだからといって粗雑であってよいわけではない。
ここではシカゴ交響楽団の精緻な合奏能力によって、無邪気であると同時に精妙で晴朗な演奏が実現している。
独唱陣ではラファエルのモリスが進行役にうってつけ、アダムのニムスゲルンははじめて人間に目覚めたよろこびと不安をよく出している。
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