2011年04月06日
クレーメル&アルゲリッチのシューマン:ヴァイオリンソナタ第1番&第2番
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精神に異常をきたしたといわれてきた頃のシューマンの作品2曲。
破目こそはずしていないが奔放な演奏である。
この2人のコンビならば、摩擦係数の高い過剰気味の演奏になると思われたが、きわめてリリカルな表現で、シューマン自身言うところのフローレスターンとオイゼービウスの対立的な気質のうち、内的なやさしい夢想に耽るオイゼーピウスが主導する。
しかも彼の晩年の作品に特有な狂気をはらんだほの暗い情念が、きわめて明晰な隈どりを得て、全体はわかりやすく軽快に展開してゆく。
そしてこの欝然とした音楽がほとんどおだやかで愉悦的にさえ聴こえる。
シューマンはそのような方向で作曲の筆を進めようとしながら、自分では抑えられぬ内面の暗い衝動に妨げられ、それが果たせなかったと思われる。
そんな想いを深く鋭く洞察したかのような演奏だ。
わりあい有名な第1番は、最初から情熱をほとばしらせ気迫に満ちているが、そこにロマン派特有の慰めや憧れに似たものもある。
規模の大きい、完成度の点ではより高い第2番がとくに素晴らしく、熱気を見せているものの、もっと多様性を打ち出した演奏だ。
ここからは、精神の弛緩や狂気などよりも、むしろ天才的な音楽家の孤独の叫びや訴え、感傷、気負いが、聴く者のハートに直接飛び込んでくる。
2人とも技巧的に抜群なのはいうまでもないが、それだけに頼らず、シューマンの本質をとらえながら、現代的なスタイルの演奏を成功させている。
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