2010年12月08日
クレーメル&アルゲリッチのプロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番&第2番
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クレーメルとアルゲリッチが生み出した、この名コンビの絶品。
アルゲリッチのピアノが本当に素晴らしい。それにもましてクレーメルが!という、何とも凄い、空前の、お化けのような二重奏。
一切の余計な思い入れを排した、研ぎ澄まされたクレーメルのクールな音楽性と、アルゲリッチのたぎるような眼差しをもったホットな表情が、稀に見るスリリングな世界へと止揚され、それがまたプロコフィエフという作曲家の複雑な音楽の質と最高に一致を見せている。
ここには、自分たちの差異をしっかり認識した上で深い共感を獲得した、本物の相互理解に基づく真の意味での室内楽の極致が示されている。
特にクレーメルの表現に、従来の尖鋭で透徹した表情に加えて、音色的にも表現的にも、より一層大きく包み込むような懐の深さが加わっているのが印象的である。
第1番だけでも聴く意味がある。
もっとも、こういう暗く重い音楽を聴くのを好むのはどうかと考える必要はありそう。
とはいえ、クレーメルとアルゲリッチが正面からぶつかりあうところなど、実にスリリングで気迫いっぱいだから、そういう演奏の素材としてのプロコフィエフ、みたいに感じられてしまうのは事実で、それが良いか悪いかはともかく、並の演奏、並のCDでは絶対ないわけだ。
ここでぶつかったかと思うと、次には親しく語り合い、というピアノとヴァイオリンの関係の急変ばかり聴いてしまうのはいかがなものか、と思いつつ、やっぱりそういう演奏の白熱の中からプロコフィエフの音楽はちゃんと浮かび上がってくるのだろう。
これ以上の演奏はほとんど考えられないほどで、誰も真似できないし、真似してはいけない。
両者のリズム感の良さも特筆しておきたい。
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