2010年12月15日
C・デイヴィス&ベルリン・フィルのホルスト:惑星
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コリン・デイヴィスが初めて録音した《惑星》であり、初めてのベルリン・フィルハーモニーとのセッションであるが、その音楽の仕上がり具合は大変素晴らしい。
期待通り、極上の《惑星》だ。
デイヴィスがこの曲のレコーディングをこれまで行わなかったのは、ベルリン・フィルのような輝かしい響きをもったオーケストラとの共演を待ち望んでいたからではなかろうか。
各曲のコントラストも見事に描き出されており、その巧妙をきわめた語り口はまさに老練の味というべきもの。
明快で、軽やかですらある指揮ぶりだが、かつてよりもロマンティックに歌う要素を強めているのも興味深い。
精度の高いベルリン・フィルのパワーが炸裂する「火星」や「木星」なども圧倒的だが、むしろ精緻なアンサンブルで幻想的な宇宙の神秘さまで表現した「金星」や「海王星」などの静寂さが支配する音楽に、この名演の聴きどころがある。
ベルリン放送女声合唱団が加わる「海王星」の神秘さ等には、ラヴェルやドビュッシーの音楽に一脈通じるような不思議な美しさが漂う。
オーケストラがガンガン鳴りまくる体育会系《惑星》にウンザリしている人にはうってつけの演奏である。
しっとりとした色気すら漂わせる繊細な響きは、デイヴィス及びベルリン・フィルの既成イメージを覆すに十分だ。
かといって軟弱でもない。そのへんが絶妙。
ベルリン・フィルの名手の技巧を完璧に引き出し、細部の彫琢に神経を配ったデイヴィスの音楽作りの巧さがこの作品の通俗性を払拭している。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年08月12日 09:53

2. Posted by 和田 2020年08月12日 12:47
ボールト風の旨味のある表現にベルリン・フィルの威力が加味された理想的な名演というほか付け加えることはありません。