2010年12月17日
バックハウス/ライヴ・アット・カーネギーホール 1956
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1925年を最後にアメリカでの活動を中断していたバックハウスは、1954年、28年ぶりにアメリカを訪れ、カーネギー・ホールでリサイタルを持った。
これは、それから2年後の1956年に再びカーネギー・ホールで行われたリサイタルのライヴ録音であるが、その頃に唯一となった日本での公演が実現されているだけに、記録としても貴重である。
ベートーヴェンのソナタを連ねたあとに、シューベルトとショパンやシューマンといった作曲家のロマン的な小品が置かれた興味ある1枚である。
バックハウスは、どんな難曲も見事にこなす技巧を誇り、「鍵盤の獅子王」と呼ばれていたが、このアルバムにも表れているように、ただ指が敏速に動くというのではない。
そのタッチの集まりが豊満で力強い響き、濁りのない美しいフォルテを生み、それが骨太な構築、質実剛健な演奏につながっている。
一方、演奏家が本当に得意な曲目に絞って録音していたこの時代、バックハウスも或る時期からレパートリーを限定した。
この貴重なライヴにも、彼の得意な、あるいは好んだ曲目が並ぶ。
ベートーヴェンのソナタ2曲では、彫りの深い造形が成されている。
《月光》では淡々と弾きながらも、この曲のもつ情感をよく表出していて、きわめて訴えかける力の強い演奏だ。
《ハンマークラヴィーア》ではスケールの雄大な、巨人的風格にあふれた演奏で、「鍵盤の獅子王」と呼ばれたバックハウスの面目が躍如としている。
アンコールの小品4曲では、この巨匠の淡々としたなかにも素朴な美しさ、作品への深い愛着が滲み出る。
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