2010年12月24日

ジュリーニ&コンセルトヘボウのドビュッシー&ラヴェル:管弦楽曲集


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ジュリーニのヨーロッパ帰国時代のフランス音楽名演集。

ジュリーニはロス・フィル音楽監督時代に《海》《マ・メール・ロワ》を録音しており、自身の手で鍛え上げたロス・フィルの緻密な合奏力を駆使して、精緻この上ない完璧なまでの演奏を聴かせていたが、ここでの《マ・メール・ロワ》はロス・フィルを退いて5年後、そして《海》はさらに5年を経たジュリーニ80歳の時にコンセルトヘボウ管で再録音したもの。

《亡き王女のためのパヴァーヌ》も再録音だが、《牧神の午後への前奏曲》は初録音。

最初に聴いたとき、「この深み、気品、スケールの大きさは尋常ではない」と深く感じ入った。

その演奏は、いずれも聴き手を意識していないような内的緊張感をもって、丹念に音を積み上げてゆきながら、崇高なまでに美しい音と響き、何とも形容し難いほどの表情を生み出しており、まさに感動的である。

ジュリーニは、ここで、ひとつひとつのフレーズを慈しむかのように丹念に音楽をつくり上げることによって、深い内容をたたえた崇高美とも言うべき異様なまでの音楽美の世界をつくり上げている。

それは、もはや祈りにも近い。

《海》は、第1楽章の大きく孤を描くようなスケールの大きな設計。第2楽章の生き生きとした表情。第3楽章の激しさと美しさと迫力。心を深く揺さぶる。

また、ラヴェルの《亡き王女のためのパヴァーヌ》は遅いテンポだが、じっくり響き切った充実した演奏。

《マ・メール・ロワ》の気高くヒューマンな世界も素晴らしい。

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classicalmusic at 18:34コメント(4)ジュリーニ  

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2020年08月21日 09:57
4 ジュリーニ。私にとってこの指揮者の評価は難しい。でも20世紀を代表するマエストロの1人であることは認めざるを得ません。イタリア時代の彼は指揮者としての美点が数々あるのに, それが散在するために演奏の魅力が乏しいと故大木正興氏が指摘していました。でもシカゴ響のゲストシェフとして活躍した70年代を境にその美点が集結し, スケールの大きな壮麗さが出て来ました。同オーケストラと録音したシューベルト, ブルックナー及びマーラーの第九シリーズで秀逸した名演を聞かせてくれました。その後ロスフィルに移ってからはベートーヴェンの運命, シューマンのラインでも荘厳で骨太の演奏を展開しました。80年代後半に入り, フランス音楽でも健在ぶりを示してくれました。レコードアカデミー賞に輝いた当盤もスケール感のある壮麗な演奏で, フランスの指揮者とは明らかに一線を画しています。オーケストラにコンセルトヘボウを選んだのもそうした狙いがあったのだと感じます。とりわけラヴェルが素晴らしいと思います。しかし同時期にウィーンフィルとライヴ録音したブルックナーの9番とブラームスの2番には失望しました。日本では評価するファンが多い様ですが, 極端なスローテンポと音楽がバラバラになった様な喧騒感は全く私の嗜好に合いませんでした。この指揮者は珍しくライヴよりスタジオ録音の方が良いと思います。
2. Posted by 和田   2020年08月21日 13:04
ジュリーニは、同じ楽団の首席指揮者や音楽監督の地位に長く留まらず、常に一匹狼的な芸術活動を続けた彼のワーク・スタイルは生涯を通じて徹底したものでした。そこには彼が経年による澱や馴れ合いを嫌った仕事に対する厳格な姿勢と、家族への配慮など人間性を最優先する情愛豊かな側面も見出されます。それは彼の音楽の精巧なディティールと対照的に温かい人間愛に充たされた安らぎに通じるものがあります。演奏曲目を見るとミラノ・スカラ座出身だった当時のイタリア人指揮者としては、彼が既に多彩なレパートリーを開拓していたことが理解できるでしょう。後年彼はむしろレパートリーを限定していく方向に向かいますが、アバドが世に出るまではジュリーニがトスカニーニ、デ・サーバタ、カンテッリに続く、オペラ以外のオーケストラル・ワークや声楽曲でも世界に通用する殆んど唯一のイタリア人だったことも象徴的です。しかしやはりオペラ畑で鍛えた腕を持っていることがその指揮振りにもよく表れていて、鋭敏な感性でオーケストラを導くカリスマ的統率力と同時に溢れるような歌心を内包した自在な音楽観は彼独自のものです。晩年のジュリー二のテンポはやや遅めですが、じっくり鑑賞すれば決して弛緩した表現でないことが理解できるでしょう。むしろ作品のディティールを曖昧にすることなく、常に明快なアプローチでありながらオリジナリティーに富んだファンタジーを横溢させる手腕は、まさに巨匠の名に相応しいものではないでしょうか。
3. Posted by 小島晶二   2020年08月21日 22:38
追伸。和田さんに指摘されてYoutubeでブルックナーの9番とブラームスの4番 (2番ではありませんでした)を聴き直してみました。何しろ何十年もジュリーニは聞いていなかったので, 昔を振りかえたくなりました(私が以前聞いたのはCDではなくNHKFMでした)。その結果当時聞いた印象と大きく異なりました。弛緩したテンポや喧騒感は全く有りません。音源が違ったのか, 私の体調が悪かったのか定かではありませんが, 昔の記憶は当てにならないし, 私自身の嗜好も変化していることを痛感した次第です。ジュリーニの家族思いは有名で, 彼は奥さんの健康を気遣ってロスを離れヨーロッパに帰還したと聞いています。これでジュリーニの私の評価は大きく飛躍しました。敬具。
4. Posted by 和田   2020年08月21日 23:10
ついでに申しますとブラームスの2番も名演と言いたくなるほど美しいです。ジュリーニがウィーン・フィルと残した演奏は想いの深さがにじみ出ていて、特別な位置を占めています。テンポは最大限に遅く、演奏時間も48分と破格で、バーンスタインに並びますが、バーンスタインは第1楽章の主題提示部のリピート込みの時間であり、ジュリーニはなしでの時間なので、歩みの慎重さが窺えましょう。
しかしテンポを遅くすることで見えてくる情景はより広大で緻密になり、情感の質もさらに愛おしくなっています。その感動は、棒を振り下ろしたものの、ジュリーニは「ああ、終わってほしくない」と想いながら指揮している、そんな風にすら思えてきます。そしてその気持ちが聴き手にも同じように実感されるのです。これほど無垢な名演は滅多にあるものではありません。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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