2010年12月19日
シャイーのヴェルディ:リゴレット
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名作中の名作、ではあるけれど、《リゴレット》はヴェルディの若々しい活力がふんだんに注がれたオペラであると、シャイー指揮の演奏は強く感じさせてくれる。
じっくり、丁寧に聴かせるというより、たとえここをゆっくりと聴きたいと思っていても、かまわず走り抜けてゆく演奏だ。
聴く者はまっすぐこのオペラの世界へ入っていける。
シャイーのヴェルディ・オペラ録音はまだ多くはないが、このオペラを作曲したときのヴェルディとほぼ同じ年齢という特別の共感もあって、劇的な力と情熱の表現がひときわ魅力的だ。
シャイーはどっしりと落ち着いた歩みの中に、自由で伸びやかな音楽表現を展開し、単によく整った若々しい活気と生気に満ちた演奏というだけではなく、ドラマと音楽の中から湧き上がってくる力とエネルギーをしっかり捉え、それを大きな劇場空間に解放している。
ボローニャ市立歌劇場のオケの響きとアンサンブルは以前よりずっと整備されてシャイーの意図に敏感に反応している。
歌手陣もよくそろっているが、中ではヌッチのリゴレットが、大変表情豊かでいちばん聴き応えがある。
やがて名人芸を披露するようになるヌッチが、まだ若く、ずっとストレートにリゴレットを歌っているのも、この演奏の長所と考えるべきだろう。
一方、パヴァロッティのマントヴァ公は、絶好調の時期に歌われた良さがある。
くせのあるアンダーソンのジルダは人によって好き嫌いが出るはず。
いずれにせよ、名人たちを集めて豪華に、という路線よりも、適材適所を考慮してのキャスティングとなっていて、これがシャイーの指揮に沿った、駆け抜ける《リゴレット》の悲劇表現に役立っている。
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