2010年12月21日
マゼールのビゼー:カルメン [アルコア版]
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ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団を率いてマゼールが1970年につくった名盤。
若き日のマゼールの、意表をつくオーケストラのバランスや自由なテンポ・ルバートの妙が、痛快な面白さを与えてくれる。
主役にモッフォを起用していることからも明らかなように、これはいわゆる典型的な《カルメン》の演奏ではない。
だから泰西名画風の名演を期待すると裏切られるかもしれない。
だがここにおけるドラマの大胆な力たるや、尋常一様のものではない。
歌手陣もマゼールの破天荒な解釈にふさわしい名手達で、モッフォの妖艶なカルメンは、卑俗に堕する一歩手前で踏み止まった絶妙な味わいを聴かせるし、ドン・ホセのコレッリも抜群の存在感を示す。
エスカミーリョのカプッチッリは堂々たる美声の威力で男性的魅力にあふれた闘牛士像をつくり出している。
ところで、美貌を誇ったアンナ・モッフォだが、ディスク面でみると、とくにこれといったものはそれほど多くはない。
その中にあって、際立った存在が当《カルメン》盤であろう。
ここにおけるモッフォのカルメンは、指揮者マゼールがつくり出す音楽の中で、たいそううまく生かされている。
というか、彼女の声のなさ、表現が単調になりがちといった弱点が、巧みにカヴァーされている、といったほうがよいのかもしれない。
マゼールの音楽づくりによって、モッフォのカルメンが充分に血肉化している。
それにしても、ここに聴くマゼールの《カルメン》は、なんと大胆でスリリングなのだろうか。
その切り口の鋭さたるや、まさに天下一品である。
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