2010年12月22日
ビーチャムのビゼー:カルメン
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ギローによるレチタティーヴォ付きの版による演奏。ADFディスク大賞受賞盤。
今日でもこの《カルメン》の魅力は色褪せていない。
《カルメン》というポピュラー極まりないオペラは、そのポピュラリティゆえに通俗的解釈に陥りやすい危険性も大きい。
毒婦、妖婦としてのカルメン、娼婦としてのカルメンといったイメージは、大衆の多くが持つものであるし、それはメリメの原作でのジプシーに対する強烈な偏見にも由来しているのだろう。
しかし、ビゼーの音楽は、メリメの"毒"とは一線を画した"品格"を持っている。
ジプシーとしての誇りと女性らしい魅力を持ったロス・アンヘレスのカルメンが素晴らしい。
自由奔放な女性としてのカルメン像、その自由に対する誇りを持つ女性としてのカルメン像を、ロス・アンヘレスは見事に打ち出した。
ロス・アンヘレスの名唱は、自然にして自由なスペイン女性としての誇りと魅力を持ったカルメン像を描き出す。
彼女は、この録音当時(1958年)は舞台ではミカエラをうたい、カルメンを劇場でうたったのはかなり後になってからだが、カルメンを妖婦タイプではなく魅力的な女性として見事に表現している。
音楽的なセンスにあふれたブランクのエスカミーリョに、若々しい美声と初々しい歌唱のゲッダのドン・ホセも素晴らしく、主役陣も万全で、ビーチャムの作り出す音楽の中に完全に適合している。
これらの名歌手たちを統率するビーチャムの、軽妙洒脱なセンスに満ちた指揮も魅力的で、全曲を見事にまとめあげている。
ビーチャムの美しい音楽作りも含め、この曲の屈指の名盤だ。
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