2010年12月31日

カツァリスのベートーヴェン:交響曲全集(リスト編)


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1981年から88年にかけて録音されたカツァリスのピアノによるベートーヴェンの交響曲全集をセット化したもの。

現代の音楽ファンにとっては、交響曲をピアノ演奏で聴く、といった事態はもはや起こり得ない。

が、文豪ゲーテがメンデルスゾーンの弾くピアノでベートーヴェンの「第5」を初めて耳にした、といわれているように、かつて交響曲のピアノ版は、社会的に重要な役割を担っていたのである。

多忙だったリストがわざわざベートーヴェンの交響曲全9曲のピアノ編曲版を作ったのは、第一に、交響曲作曲家としてのベートーヴェンを敬愛しており、これらの普及を心から願っていたためであり、第二に、社会の欲するところを満たすためであったろう。

それにしても、今どき、カツァリスのようなピアニストが出現したとは珍しい。

ピアニストがオーケストラに対抗してベートーヴェンの交響曲ファンを引きつけるのは、不可能とはいわぬまでも至難。

だがカツァリスは、楽しむようにそれをやっているようである。

リストの編曲版にカツァリスは手を加えて、これらの曲をピアノのためのグランド・ソナタと位置付け、さらに困難さを増したスコアを、驚くべきテクニックで弾ききっている。

カツァリスは、リストの編曲版をすべてにわたって吟味し、リストが不可能と判断した箇所でもさらに克服する努力を続けている。

このベートーヴェン・シリーズの価値はそこにあり、彼がピアノのあらゆる機能とあらゆる音色を駆使し、オーケストラに限りなく近づこうとする意志は並大抵ではない。

彼自身にとっては十二分に意味のある挑戦であったろうし、前人未踏の記録であるがゆえに貴重だ。

しかし全音楽的表現という点では、オリジナルにかなうものではない。

カツァリスが驚異的技術の持ち主であることも事実なのだが、これは一種の趣味の世界ではないだろうか。

19世紀に戻った気分で一聴してみては?

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classicalmusic at 18:02コメント(0)トラックバック(0)ベートーヴェン  

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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