2011年01月05日
シノーポリのマスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ
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シノーポリの演奏は、このオペラのスコアに内包されていた新しい可能性を切り拓く画期的な名演だ。
始めから終わりまで、新鮮でユニークな発見と魅力に満ちている。
響きが透明で繊細。しかも思い切ったルバートや微妙なテンポの揺れによってフレーズがひとつひとつ生き生きと呼吸する。
マスカーニの音楽が同時代の印象主義、そしてさらに来るべき表現主義につながる。
シノーポリがスコアから引き出しているのは、激情と刺激にあふれた原色的・煽情的な、いわゆるヴェズリモ・オペラではなく、そうした外面的衣裳の内側にあるマスカーニの音楽自体の美しさだ。
オペラの分野でのシノーポリが、イタリアもので本領を発揮する人だったことを改めて実感させる切れ味鋭い名演。
透明な輝きを駆使し、スコアに内含された新たな真実を鋭いタッチで抉り出す。
そこでは自在に揺れ動くテンポがきわめて効果的。それを駆使して登場人物の心理を巧みに表現する。
緩急や強弱の幅を大きく取り、それを微妙にコントロールしながら、各場面の本質を描き出す。見事な心理学だ。
バルツァのサントゥッツァとドミンゴのトゥリッドゥが素晴らしく、この主役2人の歌に関する限り、今までの名盤のなかでもベストにあげてしかるべきだろう。
バルツァのサントゥッツァが強烈なファム・ファタール型で、男たちはドミンゴのトゥリッドゥばかりか、ポンスのアルフィオまでけっして粗野な精力家ではなく、むしろ弱さをあらわにして運命に翻弄されてゆくタイプとして表出されているのも、そうしたシノーポリの視野、解釈に見合う。
そしてインパクトある合唱が、この作品を、象徴的な近代的運命劇にまで高める。
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