2011年01月11日
エマーソンSQのヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」&第2番「ないしょの手紙」
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ヤナーチェクの《クロイツェル・ソナタ》と《ないしょの手紙》という表題をもった2つの弦楽四重奏曲は、激しい起伏に富んだ表現主義的な作品だ。
エマーソンSQは、この曲を単なる民族的な作品として捉えることなく、現代的な厳しさを感じさせる作品として捉え、曲の核心に迫ろうとする気迫の鋭さ、内面を表現し尽くそうとする意欲の激しさなど、表現主義の世界に一歩も二歩も入りこんでいる。
作曲家ヤナーチェクの心の叫びは、そのまま彼等の叫びとなって演奏そのものに内燃しており、切々たる愛を訴える激しいスル・ポンティチェロ奏法は、各楽器に受け継がれ、作曲家の想いを託して、聴く者の心に突き刺さるように打ちこまれる。
ヤナーチェクの標題音楽としての劇的な葛藤が、精緻なアンサンブルと精妙な音色の変化で、鮮やかに浮き彫りとなり、その表現力の幅広さは、ただ驚き入るばかりだ。
エマーソンSQのメンバーは、自分たちが21世紀に生きている演奏家であることを強烈に自覚しているようだ。
彼らは、これらの作品にまさに現代的意味を与えると同時に、20世紀の作品であることを改めて知らしめたのである。
《クロイツェル・ソナタ》では、4つの楽器がきわめて強く自己主張している。
それがヤナーチェクの作曲語法やこの作品の構成を明らかにするうえで大きな力になっているのだが、加えてトルストイの小説にヒントを得た標題音楽としての劇的発展や、主人公たちの心理的葛藤までも見事に表現している。
《ないしょの手紙》も表現主義的な趣をもって開始される冒頭からもうかがえるように、内声部の表現の豊かさが見事だ。
マルティヌーも見逃せない快演。
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