2011年01月17日
スメタナSQのヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」&第2番「ないしょの手紙」(1976年盤)
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
4種類あるスメタナSQのヤナーチェクの弦楽四重奏曲2曲のなかの3度目の録音。
成り立ちについても、解釈演奏についても、論議の的となってきた第1番は、この時からその前年に出版されたこの四重奏団のヴィオラ奏者シュカンパが徹底的に校訂し直した版が使われ、それまでの演奏に比べてテンポの緩急や強弱の対比の幅が広がり、それだけに激しい起伏に富んだ、彫りの深い音楽として響くようになっている。
とくに第3楽章がそうで、終楽章との対照も一段と明瞭になり、標題音楽的な意図がそれまで以上に明らかになっている。
こうした校訂の基本姿勢は、いちおう従来の版に従っていた第2番の解釈演奏にも、おのずから反映されている。
スメタナSQは初来日の時、このヤナーチェクを暗譜で演奏して聴衆をびっくりさせたというが、これは彼らの円熟をよく示している。
各声部が精妙に絡み合い、響きは安定し、表情は多様。
そうした中でヤナーチェク独特のヒューマニズムを感じさせる。
しかもこの作曲家が好んだモティーフの構成やリズムもはっきり打ち出している。
こうしたことはチェコの団体でなければ不可能だろう。
長年彼らが主要レパートリーとして演奏してきた作品だけに、作品自体がすでに彼らの血肉と化している。
彼らが自らの言葉で語り、訴えているかのように、あらゆる音が緻密な表情をもって息づいている。
ヤナーチェクが表現したかったドラマの世界が、暗譜演奏の興奮を伴って、いとも解明に表出されている。
1979年の実況録音も良いが、当盤の方がより精度が高い。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。