2011年02月17日
ジュリアードSQのドビュッシー&ラヴェル&ウェーベルン:弦楽四重奏曲
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精巧なアンサンブル・テクニックと合理的でザッハリヒなアプローチを武器にしたジュリアードSQ盤は、いわばフランス的な雰囲気や余情にはやや欠けるが、作品のイデアを確実につかみ出した演奏であり、そこでは、歪みのない作品像が描かれている。
彼らの知的なアプローチは、ドビュッシーでは思いがけないほどにロマンティックな表現を生んでおり、とくにファンタジーや官能美に溢れる第3楽章などは、その意外性が大きな聴きどころになっている。
一方、作品の精妙さを徹底的に追求したラヴェルは、特有の硬質で緻密なテクスチュアを巧みに捉えた演奏であり、その読みの深い対処に感服させられる。
ドビュッシーやラヴェルの音楽の表現にはフランス的エスプリが期待される。
しかし、そのエスプリ、つまり機知を言葉で説明するのは困難だ。
そこに洗練された洒脱とかヒューマニティといった要素を加えたとしても、作品に漂う香りを説明するのは難しい。
それはドイツ的なものの対極にあるのかも知れない。
調性和声に支配された論理的構築ではなく、自由な感性による豊かな色彩感であり、流麗さだろう。
それは4人の奏者の一致した音楽作りのコンセプト、響きや音色に対する繊細なバランス感覚とコントラスト感覚が不可欠となる。
ジュリアードSQはアンサンブル音楽のひとつの理想を達成している。
ウェーベルンは明晰なテクスチュアの立ち上がり、特殊奏法の異常なまでの冴え、そして身を切るようなシャープな表現等々、今もってウェーベルン演奏の極致といえるのではないか。
ジュリアードSQの演奏は、今聴いても先鋭的でドライに聴こえる。
このウェーベルンで洗礼を受けた作曲家たちも多いだろう。
現在でもひとつの規範となっているアルバムだ。
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