2011年02月02日
セラフィンのヴェルディ:オテロ
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名盤ひしめく《オテロ》だが、その中にあってもっともイタリア的伝統を汲むオーソドックスなアプローチに立ちつつ、しかもこの作品の奥深さと劇的な真実性を表わし出したのが、この録音に聴くセラフィンの名指揮だろう。
セラフィンの指揮は、仕上げに粗さを残してはいるが、この名指揮者ならではの音楽的充実度を示している。
トスカニーニと並んで、イタリアの伝統的ヴェルディ解釈の重みを伝えてくれる。
イタリア・オペラらしいカンタービレ的特質と、音楽の流れに沿った自然な表現性を生かしながら、作品そのものに雄弁に語らせることによって、この傑作の本来の魅力を味わわせてくれる。
歌手も見事で、とりわけイアーゴ役のゴッビの神技とも呼べる性格表現はまさに極めつけ。
このゴッビのうまさに匹敵しうるのは、トスカニーニ盤のヴァルデンゴだけだろう。
タイトル・ロールを歌うヴィッカーズもまさにこの役柄にぴったりのドラマティックテノール。
ストレートな歌いぶりで将軍オテロの直情的な性格を捉えて、オテロの英雄的で凛とした強さと風格を常に感じさせるものがある。
また同時に、その剛直さ故にやがてイアーゴの罠に易々とはまってしまうことも予感させる歌唱と言えようか。
ヴィッカーズは作曲家への奉仕の点で、デル・モナコと決定的に違う。
男性的なその声を、愛に苦しむ将軍を表現するために柔軟に使いこなしているのだ。
やや異質だが、リザネクのデズデモナも高レヴェルの歌唱を示している。
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