2011年02月03日
デュメイ&ピリスのブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集
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ブラームスの《ヴァイオリン・ソナタ》全3曲を収めたこのアルバムで、絶妙なアンサンブルを聴かせるのは、オーギュスタン・デュメイとマリア・ジョアン・ピリス。
ヴァイオリン、ピアノとも、このところ著しい充実を如実に示した演奏の出来ばえだ。
デュメイはラテン的で洗練された表現力と包容力豊かな音楽性、磨きぬかれた美音を駆使して、上品で味わい深い音楽を語りついでいくヴァイオリニスト。
ピリスは明快なタッチによる清冽な音と響き、シャープな感受性と緻密な表現力で集中力の高い演奏を聴かせるピアニストである。
デュメイの語り口はのびやかで、細部まで神経が行き届き、ふくよかな表情が美しい。
ピリスははつらつとしており、感覚の冴えをみせ、前向きの姿勢に貫かれていて、音楽をひきしめている。
両者の呼吸の整えかたも好ましい。
デュメイとピリスはともにラテン的な感性を持ち、それが合わさって従来の重厚なイメージのブラームスの音楽を大きく塗り替えることに成功した。
しかし、注意深く耳を傾けると両者の個性はかなり異なっていることにも気付く。
洗練された表現によって美しく旋律を歌わせるデュメイに対し、ピリスのピアノはもっと磨き澄まされた切れ味の鋭さがあるのだ。
その両者の持ち味の違いが時に協奏的に個性を主張し、デュオをより重層的なものにしているのである。
本質的に異質の2人が密度の高いデュオを実現させ、個性豊かなブラームスを繰り広げている。
ブラームスの音楽の構造をしっかりと守りながら、そこに巧みに色彩を付与したこの演奏を、南の世界への憧れを抱いていたブラームスが聴いたならばきっとおおいに喜んだことだろう。
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