2011年04月01日
クレンペラーのワーグナー:さまよえるオランダ人
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スケールの大きなシンフォニックな表現の中に、このオペラ独自の幻想と主役たちの苦悩とを最もよく伝えているのは、もう録音の古さも多少感じられるが、クレンペラー指揮の演奏であろう。
クレンペラーの、終始一貫、すさまじいまでに力に満ちた厳しい音楽に圧倒される。
一見、悠然たるテンポの運びから吹き出してくる壮絶な気迫と白熱のドラマにも圧倒される。
しかも単なる表面的なダイナミズムの激しさだけではなく、もっと実体をもった強固な音の構築である。
それは劇場的、オペラティックな表現ではない。
クレンペラーは音によってドラマを描くのではなく、あくまで音楽そのものを表現している。
たたみかけるような凝集力ではベーム盤に一歩譲るとしても、ここには、いかにもクレンペラーらしい厳しい意志的な掘り下げと、憧憬の、一種霊的な表現とがある。
アダムのタイトル・ロール、収録時33歳のシリアのゼンタ、そして今は亡きフィンランドの名バス、タルヴェラのダーラントも、それぞれ役の中に深く踏み込んだ熱演を聴かせている。
ちなみにクレンペラーは、1843年のドレスデン・オリジナル版を、序曲の終わりにも、全曲の幕切れにも、ゼンタの「救済の動機」を繰り返さないかたちで取り上げている。
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