2011年02月25日
フルネのフォーレ:レクイエム(1893年版 ネクトゥー、ドゥラージュ編纂)
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フォーレ研究の第一人者J・M・ネクトゥー他が編纂した1893年版は、もともとパート譜しか残されていない。
ヘレヴェッヘやガーディナーの同じ版の録音は、ボーイ・ソプラノではなくソプラノで〈ピエ・イエズス〉が歌われていたり、ラッター版を用いてなされていた。
しかしこのディスクでは、ネクトゥーの研究結果を検討し、ラテン語の発音についても論議を重ね、最もフォーレが望んでいたであろう形で録音がなされている。
このフルネの演奏は渋くおとなしい傾向に徹しているがゆえの地味さがマイナスに作用するケースもあろうが、その吟味され尽くした表現に宿された味わいの深さに目を向けると、この名作の最高水準の名演の一つであることが容易に理解される。
フルネのもっているフランス人としての良識が発揮された心温まる音楽が満ちあふれている。
ここではフランスのオケでないがための色彩感の乏しさなども認められるが、フルネはこの日本フォーレ協会編成によるオケの適度にくすんだ奥ゆかしいサウンドをプラスに活用し、作品の典雅な感触と内面的な感情の推移を衒いなく描き出している。
そしてフルネの語り口から漂うペダンティックな雰囲気の妙と高貴な品格は、この名作の持ち味である高貴な抒情美のさらに純化された表現をも可能たらしめているのである。
非常に丁寧な、そして妥協を許さないフルネの徹底した指揮ぶりは、気品のある整ったこのディスクからも聴き取れ、長谷川冴子氏指導の東京少年少女合唱隊による見事な女声パートも、この録音の完成度に力を添えている。
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