2011年02月23日
ベームの「フィガロ」(1968年スタジオ録音)
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オーストリアの大指揮者カール・ベームほど敬愛された指揮者はいなかったように思う。
歌手たちも、演奏家も、劇場支配人もみな、真実の、厳格な、親愛なる友……とベームをたたえているからだ。
87歳の誕生日間近まで演奏活動を展開し、数えきれないほどの名演を聴かせ、必ずしも録音好きではなかったといわれるベームだが、録音でも感銘深い演奏を多数遺してくれた。
彼が最後までもっとも愛したオペラでいえば、ウィーン国立歌劇場の音楽監督に2度就任しており、また1961年以後は、ベルリン・ドイツ・オペラの指揮台にたびたび登場して、その最盛期を築いた。
1963年のベルリン・ドイツ・オペラ初来日公演でも《フィガロの結婚》を指揮して伝説的名演を残したが、このアルバムは、1968年にベルリンのイエス・キリスト教会で録音されたものである。
第一級のモーツァルト指揮者といわれたベームによる傑出した名演として名高いもの。
これに先立つ《魔笛》や《ドン・ジョヴァンニ》に比べると、ベームの表現の完成度は高い。
演奏は、構築がしっかりしているうえに、全体に愉悦感にあふれていて、たいへんすばらしい。
ベームの指揮は、透徹した表現と統率の音が隅々にまで行きわたり活気にみちた華麗な音楽を生み出す。
スコアから導き出される解釈の的確さ、類いまれなテンポ感、デュナーミク、フレージング、どれをとってもすばらしく、ベームの真摯で堅固な造形のなかに、モーツァルトの魂が生き生きと息づいている。
キャストも豪華で、不世出の大歌手ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、格調高い叙情を感じさせるグンドゥラ・ヤノヴィッツ、さらにエディト・マティスやヘルマン・プライ、タティアナ・トロヤノスらがそれぞれ持ち味をよく生かして魅力あふれる名唱を展開している。
主役の歌手たちのすこぶる個性的な歌の魅力と、キャラクターの対比の鮮やかさで、傑出した名演。
理想的なキャストで、なかなか望めない見事なモーツァルトの音の最も美しい姿が実現されている。
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