2011年03月13日
カラスの「清教徒」
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このベッリーニ最後のオペラも《ノルマ》と同様、カラスとセラフィンを越える演奏は残念ながらまだない。
半世紀以上も前の演奏だから当時の古い様式感に問題はあるものの、20世紀にベルカント・オペラを蘇らせた偉大なソプラノの才能を後世に伝える歴史的名盤だ。
この《清教徒》はカラス全盛期のエルヴィーラ役の究極の解釈を示す名唱で、この強靭な声の威力と見事なコトラトゥーラ技術が、求心的なドラマを形成する方向へ凝縮していく姿は、この不世出の大歌手の凄絶なまでの素晴らしさを伝えてくれる。
ベッリーニの命とも言えるカンタービレなフレーズにおけるみずみずしさ、レチタティーヴォの驚くべき雄弁さ、〈私は愛らしい乙女〉の優美な鮮やかさから、〈狂乱の場〉の悲劇的な表情とアクロバティックなテクニックの壮絶さなど、どの部分を切り取ってもその歌唱の見事さには感嘆するしかない。
それにこれは痩せる前の完璧なテクニックを誇るカラスなのだ。
さらに絶対的な価値を与えているのがセラフィンの素晴らしい指揮で、全ての歌手の美点を最大限に引き出しつつ、音楽の美しさを余すところなく表現する技は真の玄人芸と呼ぶ見事さである。
共演のディ・ステファノやパネライは力唱しているが、残念ながら様式を外れている。
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