2011年02月28日
ミトロプーロス&ケルン放送響のマーラー:交響曲第6番「悲劇的」
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ミトロプーロスは20世紀の音楽を得意とし、マーラーも好んだ。1947年にはニューヨーク・フィルと、第6番の米国初演を行っている。
1960年にミラノで急逝したのも、交響曲第3番の練習中に起きた心臓発作が原因だったから、文字通りマーラー作品に殉じたといえなくもない。
問題は、彼のそうしたマーラーに示した強い共感を追体験できる良質の録音が、思ったほど多くないことだ。
セッションでは、1940年に当時の手兵・ミネアポリス響と行った「巨人」の世界初録音があるぐらい。あとは時折世に出るライヴ盤で、至芸をしのぶしかない。
この第6番でまず強烈な印象を残すのは、異常なまでの高い燃焼度だ。
切迫した気分で低弦がリズムを刻み出す第1楽章冒頭から、指揮者、オケともにテンションの高さは明白。
概してテンポは速めで、「悲劇的」な曲想を深く抉った苛烈なまでの劇的な盛り上げや、心の底からの痛切な歌い込みに、ぐいぐい引き込まれる。
渾身の力を振るったフィナーレでは、ライヴならではの凄まじいクライマックスを築き上げる。
もちろん現代音楽の名手らしく、見通しの良い造形にも欠けていない。
ミトロプーロスの熱演の陰には、マーラーが一般に広く浸透していなかった当時(1959年)、作品を聴衆に何とか広めたいという真摯な使命感があったと推察され、胸が熱くなる。
最後までパワフルな合奏を聴かせるケルン放送響の威力もさすがで、マーラー作品に潜む独特な音色をみごとに表出している。
弟子のバーンスタインに連なっていく現代のマーラー演奏を考える上でも、まことに忘れ難いドキュメントである。
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コメント一覧
1. Posted by kristenpart 2013年06月02日 09:05
ミトロプーロスとケルン放送響とのマーラー6盤。
漆黒の夜空に銀鱗の尾を振りまいて横切る彗星のような
演奏。
テンシュテットの世評高い録音と比較しても
その大円団のアーチは一等高い位置にある。
漆黒の夜空に銀鱗の尾を振りまいて横切る彗星のような
演奏。
テンシュテットの世評高い録音と比較しても
その大円団のアーチは一等高い位置にある。
2. Posted by 和田 2013年06月02日 09:12
kristenpartさん、コメントありがとうございます。
自分としてはマーラーの「第6」は、バーンスタイン&ウィーン・フィル盤が最高と思っていますが、ミトロプーロスのマーラーでは、他にウィーン・フィルとの「第8」のライヴがあって、それも必聴です。
自分としてはマーラーの「第6」は、バーンスタイン&ウィーン・フィル盤が最高と思っていますが、ミトロプーロスのマーラーでは、他にウィーン・フィルとの「第8」のライヴがあって、それも必聴です。