2014年01月15日
クナッパーツブッシュのワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」(1951年バイロイト祝祭劇場でのライヴ)
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1951年に再開された戦後第1回のバイロイト音楽祭における記念すべき上演の記録である。
1951年から1964年まで1953年を除いて毎年《パルジファル》をバイロイトで指揮したクナッパーツブッシュの録音のなかでは、1962年の深遠な演奏が音もよく好評だが、ヴィントガッセンがパルジファルを演じたこの1951年の若々しい覇気に溢れた白熱の演奏の魅力もそれに優るとも劣らない。
ライヴ特有の雑音やアンサンブルの粗さはあるものの、クナッパーツブッシュの高い集中度に満ちたスケール豊かな音楽は、やはり大きな魅力をもっている。
音の状態はいくぶん古さを感じさせるものの、いかにもクナッパーツブッシュらしく、たいへん個性的で構えの大きな演奏だ。
この作品の官能的な一面と、神秘的な崇高美をそれぞれ見事に表現したもので、独唱陣も、彼の呪縛的な棒に魅せられて、陶酔的に一体となって演唱している。
とりとめのないような作品を、とりとめのないような表現の仕方で把握しようとしても、必ずしもうまくいくというわけではない。
しかし、その難事にあえて挑み、成功させてしまったのが、このクナッパーツブッシュ盤である。
長大な発想をもつ《パルジファル》を、ここでの指揮者は四つに組もうとか、知的にふるまおうとか、奇襲をかけてポイントを取ろうとかいった作為めいたことはいっさいせず、ごく無造作な調子で、あるがままに再現しようとしていく。
そのような単純で、素朴なアプローチがこれほどまでに多大な成果をあげうるのは、一重に指揮者のただならぬ力量のためといえるだろう。
歌手陣もそれぞれが白熱した名唱を聴かせており、ことに20世紀屈指のワーグナー・テノールだったヴィントガッセンのパルジファルは、これが唯一の正規の録音で、その強い存在感に満ちた歌唱は見事である。
《パルジファル》における記念碑的な意味をもつアルバムだ。
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