2011年03月01日
クナの「ブラ3」(1963年ライヴ)
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クナッパーツブッシュはブラームスの交響曲第3番を得意にしており、何種類も録音があるが、どれかひとつと言われれば、最後のシュトゥットガルト放送響を採る。
クナの「ブラ3」は、どの演奏も遅いテンポでうねるように流れ、大胆なアゴーギクを駆使しながら、そこには音楽としての必然性があるという共通点がある。
しかし年月を経るとともに、その内実が変容していったのは、積み重ねた年輪のなせる業であろう。
このシュトゥットガルト盤は、クナが到達したほとんど最後の境地である。
この演奏は、この偉大な芸術家の独白を聴く思いがする。
第1楽章のテンポは「遅い」のではなく「幅が広い」のである。決してもたれることなく、巨大なフォルムが浮かび上がるが、その感情はどこか懐古的である。
第2楽章は、すべてのパートがじつにしみじみと語りかけてくるのが素晴らしい。
そして第3楽章のテーマを弾くチェロがこんなに痛切だったことが今までにあったろうか! メロディーがヴァイオリンに移ったときの対旋律のチェロは、ほとんど泣いているようではないか!
一般的に放送オケというのは機能的で、わりとドライな演奏をしがちだが、この日のシュトゥットガルト放送響は違う。
オケがクナの棒の下で演奏できる喜びに、胸をふるわせていたに違いないと私は確信するのである。
第4楽章は普通の倍も遅いようなテンポで開始され、ひたすらうねっていくが、そこには強烈なエネルギーの放射がある。
しかしそれはフルトヴェングラー流の、指揮者もオケも夢中になって燃え上がっていくというタイプの演奏ではなく、指揮者が淡々と出す指示に、オケが自発的に心をこめて応えるというものではなかったのか。
だからこそ、音楽が楽譜の指示からはみ出して大揺れに揺れても、どこか見通しの良さがあるのだと思う。
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