2011年03月06日
フリッチャイのモーツァルト:後宮からの逃走
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モーツァルトを振るときのフリッチャイは、ひと味ちがうような気がする。
モーツァルトを畏敬してやまない気持ち、モーツァルトへの憧憬の念がそうさせるのかと考えたりする。
旧東ドイツの手兵、ベルリン放送Oから、軽く弾むリズム、細部まで見通せる透明な音、しなやかな旋律を引き出したフリッチャイの感性と手腕に驚かされる。
《後宮》というオペラじたいが青春そのものの作品である。フリッチャイに選ばれた歌手たちは、若手ばかりで、青春がはち切れそうなガンバリを見せる。
シュターダーのコンスタンツェは、やや細身ながら独特の魅力をもつ声で、力強くはっきりとした意思を示す。
第2幕第10曲「わが幸福が消えた日から」は、自分の悲しい運命、哀愁感を嘆き歌い、次の第11曲「たとえどんな苦難が待ち受けていようとも」では、強い意志をこめてドラマティックに絶唱。
この2曲は《後宮》のハイライトであり、シュターダーも絶品なのだ。
もう1人の女性ブロントヒェン役は、リタ・シュトライヒ。
フリッチャイの《後宮》で成長したシュトライヒは、やがて《フィガロ》のスザンナ役で大成する。
ここでは若さでピチピチのブロントヒェンを演じ、文句のつけようがない。
ベルモンテのヘフリガーは、声も役柄も、青春のモーツァルトを歌う最適な声、純粋で実直な若者を描き出している。
オスミンのグラインドルは、役を十分に理解して好演、ブッファを盛り上げている。
歌手は、合唱団を含め、申し分のない出来である。
また、ジングシュピール独特のドイツ語による会話は、歌手全員がドイツ語圏の人のためか、これもまた美しく響き、オペラを成功させた一因として見逃せない。
録音はモノラルだが当時としてはすばらしく、現在でも十分観賞に堪えるものである。
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