2011年04月24日

ベロフのドビュッシー:ピアノ作品全集(新盤)


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



20世紀の作品を得意とするフランスのピアニスト、ベロフにとって、ドビュッシーはむろん重要なレパートリーのひとつ。

ベロフはきわめて感性の鋭い天才肌のピアニストであり、フランス・ピアノ音楽に新たな光を注ぎ込んだ。

メシアンの演奏などでも証明されているが、このドビュッシーも新鮮な感覚が随所で聴きとれる。

円熟期に達したベロフがそのシャープな感覚によって敢然と打ち出してくるドビュッシーの音像。

彼の本能の一部とさえ思える現代的な感応力がこの演奏全篇に行きわたっており、しばしば聴き手をハッとさせるような超感覚的な空気を作り出している。

表現手法はかなり直截ではあるけれども、それが決してこけおどしに聴こえないのは、ベロフの音楽性の内的なリアリティゆえだろう。

さらにリズム感の鋭敏さと音の粒のクリアーさも、このピアニストの大きな武器となっている。

ベロフの紡ぎ出すドビュッシーの《前奏曲集》に接して、筆者は目から鱗が落ちる思いがしたものだった。

彼の鋭利な感覚が決然と作り上げてみせる地平を何度も聴き返し、やはりドビュッシーは現代音楽の祖だと再認識した記憶がある。

徹底的に新しい感覚のアプローチを得て、尚も輝かしい存在となる作曲家だということを実感した次第。

とりわけ《前奏曲集》第2巻、ここでドビュッシーが行なおうとしたことは、まさにベロフのような瑞々しいチャレンジによってこそ真価を発揮するように思える。

ドビュッシー音楽の演奏には、実はベロフに代表されるような一種フッ切れた音楽観が不可欠なのであろう。

きらめくような音立ちに支えられて、どこまでも切れ味よく《版画》3曲が描出されてゆく。

そのモダンでストレートな感覚は、実に新鮮である。

全12曲の《練習曲集》の恐るべき内容を筆者に最も直截に啓示してくれたのも、実にこのベロフのディスクだった。

「練習曲」とは名ばかりのドビュッシーの感覚のエッセンス、あるいは語法の集大成ともいうべきこの曲集は、最もラディカルにこの作曲家の天才を伝えたもの。

ベロフのピアノは、作品のかかる尖鋭性を極めてストレートかつ霊感豊かに描出してみせる。

鮮やかに変幻する色彩、めまぐるしく交錯する楽想、飛翔し躍動する音群等、これらインスピレーションに満ちた音の数々を、彼は持ち前の鋭利なタッチと現代感覚で弾きあげ、類なく閃きに満ちた世界に仕上げている。

ドビュッシーの天才とベロフの異才が一体となり実に新鮮な美学が完成しているように思う。

《ベルガマスク組曲》は古風なフォーマットのなかにドビュッシーが美しい近代和声を響かせ、さらにここでベロフが冴えたタッチで再現する。

コントラストのはっきりした演奏で、アグレッシヴなスタンスでこの4曲に切り込んでいる。

《子供の領分》は、思い入れたっぷりの表現と弱音の美しさが際立ち、この曲集のしなやかなニュアンスをよく引き出している。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 15:46コメント(0)トラックバック(0)ドビュッシー | ベロフ 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ