2011年03月09日

エネスコのバッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ


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このソナタとパルティータは、ヴァイオリン奏者としてエネスコが遺した記録の中でも、とりわけ重要なものだ。

エネスコは幼年時代からバッハの音楽を愛し、芸術家としてもバッハの解釈に精神を集中した。

その成果が《無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ》の全曲録音で、エネスコ67歳の年の1948年頃にニューヨークで収録されたものだという。

演奏家の心の奥深くで燃え上がるパッションをほとばしらせたバッハである。

エネスコ晩年、もとより盛期をかなり過ぎた時期の録音ではあるが、この名匠によるバッハ《無伴奏》全曲が残されたことの有難さは筆舌に尽くし難い。

録音も貧弱だし、作曲家が書かなかった装飾や過度なヴィブラートの使用を嫌ったエネスコの演奏だけに、骨と皮だけのバッハに聴こえるところもないではない。

それにヴァイオリンの演奏技術が著しく向上した現在では、年齢からくる技巧の衰えも気にならないではない。

パルティータ第2番の最初のほうなど、その意味で先行きが思いやられたが、先へ行くほど集中力を増し、シャコンヌの楽章の表現の厳しさとほとばしる気迫には文句なしに圧倒されてしまった。

似たことはあとの5曲についても言え、エネスコがバッハに寄せた敬愛の深さを物語る貴重な形見の一つである。

強い集中力と感情の移入は、バッハの音楽の様式を正確に再現すると同時に、豊かな感情を引き出している。

落ち着いた、しかもスケールの大きな解釈は、まさに巨匠にふさわしい。

朗々とした歌や語りかけるようなアーティキュレーションにも人間的なあたたかさが通い、その音色は豊麗で瑞々しく、万華鏡を覗いているかのように多彩だ。

他からは求められない滋味に加え、いわば"神韻"と呼びたい何かが、ここには確かに感じ取れる。

バッハの全作品を暗譜していたという伝説が囁かれるほどこの大作曲家に傾倒し、パリを中心に活躍していたころ、バッハ研究の最高権威と自他共に許していたエネスコの録音に触れなかったら、《無伴奏》そのものについて、記述を諦めるほかはないだろう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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