2011年05月17日

バレンボイム&イギリス室内管のドヴォルザーク&チャイコフスキー:弦楽セレナード


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このバレンボイム、イギリス室内管によるドヴォルザークの「弦セレ」は、心のこもった演奏なので、好きである。

もしかすると「古臭い感じがする」とか「野暮ったい」と言われかねないほどの演奏なのだが、良いものは良いとしか言いようがない。

第1楽章はじつに温かい響きで始まるが、すぐにファースト・ヴァイオリンにポルタメント(意図的な音のずり上げ)すら現れる。

戦前のオーケストラならいざ知らず、1970年代の録音でポルタメントとは珍しいと思うのだが、それが陳腐ではなく感動に結びついているところに、この演奏の凄さがある。

しかも再現部の同じ箇所でも、やはり同様のポルタメントがかかるので、これはもう確信犯である。

室内管弦楽団でありながらフルオケのような分厚い響きで歌い上げていくのも、素晴らしいと思う。

第2楽章主部の憧れを感じさせる表現と、トリオのしみじみとした情感の対比はじつに鮮やか。

そして活き活きとした感動が直接伝わってくるスケルツォにおいて、最後の部分は、ちょっとテンポを落とすことによって夕映えの情景にしてしまう、心憎いばかりの表現だ。

第4楽章はまさに「夜の音楽」である。

最初はすーっと流しながら、しだいに熱い情感がこみ上げてくるところなど、じつにみごと。

聴き手はきっと、追憶の世界に引き入れられてしまうに違いない。

しかしそんな夢を吹き飛ばすようなパリッとしたフィナーレの熱狂、そして第1楽章の回想の懐かしさ、さらにプレスト鮮やかな締めくくりと、この演奏は最後まで聴き手を捉えて離さないのである。

カップリングされているチャイコフスキーの「弦セレ」も素晴らしいが、より感動的なのはこのドヴォルザークだと思う。

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classicalmusic at 00:02コメント(4)バレンボイム  

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2021年01月08日 09:24
4 遅ればせながら,初春のお慶びを申し上げます。本年もよろしくお願いいたしますと言いたいところですが,昨年コロナ禍の中申し上げたい旨は相当勝手に述べさせていただいたので,今後コメントを寄せるのはなるべく差し控えた方がよろしいかと感じています。でもどうしても一言申し上げたいことやお尋ねしたいことはあると思いますので,その際は老人の戯言とご容赦下さい。
バレンボイムの両弦楽セレナーデはやすらかで幽幻的な秀演で, 当時は若かったのに見事の一語で,全く同感。とりわけドヴォルザークが秀逸で, 作曲者自身がこの様に演奏して欲しかったと言ってくれるのではないでしょうか。私はLP期に本ディスクを購入しましたが, CD期になってからは同じイギリス室内管のレパード盤を愛聴しています。こちらもドヴォルザークの方が秀逸で, バレンボイムより粘着性が勝った演奏の様に感じます。チャイコフスキーの方は小澤/サイトー記念の愛らしい演奏が忘れられず,カラヤン,デイヴィス,マリナーらの演奏より遥かに愛着を感じます。その他の弦楽セレナーデではエルガーが美しく,シノーポリ盤を時々聞いています。
2. Posted by 和田   2021年01月08日 13:04
小島さん、ご遠慮なさらないでください。コロナ禍でも色々と示唆を受け、刺激になっていますので、いつでもコメントをお待ちしております。
エルガーの弦楽セレナーデは確か持ってはいるのですが、どんなメロディだったか記憶にありません。しっかり聴いてみます。
早速余談ですが、あれからモーツァルトのピアノ協奏曲にはまってしまい、様々な演奏を聴きました。私の大好きな第18番ですが、小島さんご推薦のペライアやバレンボイムも素晴らしかったですが、内田光子の新盤が最高で、彼女の透徹したタッチを近接したマイクが見事に拾っています。第2楽章の哀しみの表現は勿論、両端楽章は理屈抜きの愉悦感の中に寂寥感すら漂わせ、彼女の近年の進境ぶりを示しています。逆にこれはダメだなと感じたのが、リヒテル&バルシャイ盤で、かつてアシュケナージが「ロシア人にはモーツァルト演奏のセンスがない」というようなことを言っていましたが、確かにリヒテルのモーツァルト演奏は、アシュケナージの言を納得させてくれるものがあり、デリカシーのなさが際立ってしまっています。
小島さんは最近これまでに触れられていないモーツァルトのピアノ協奏曲の名演盤は発見されましたか?
3. Posted by 小島晶二   2021年01月08日 20:08
追伸。心にしみる励ましを頂き感激しております。エルガーの弦楽セレナーデは12分程度の短い楽曲ですが,美しさでは愛の挨拶を凌ぐと思います。リヒテルのモーツァルト(例えばブリテンとの27番)は故宇野功芳氏も演奏表現以前の問題だと酷評していました。チリの田舎に居てはモーツァルトに限らず,新たな名盤の発見は望めません。内田光子の18番の新盤も未聴です。是非聞いてみたいと思います。これまで私が褒めてきた辻井伸行でさえロマン派の楽曲は素晴らしいのですが,ベートーヴェンは未熟です。モーツァルトには未だ手を染めていない様ですが,現状では時期尚早になるでしょう。シュナーベルが言った様に,モーツァルトのピアノは子供には易しすぎ,大人には難しすぎるのでしょう。
4. Posted by 和田   2021年01月08日 21:42
なるほど。モーツァルトの作品の中で、ピアノ曲の占める割合というのはたいへん大きく、彼自身がピアノの名手であったことを思えば当然のことなのでしょう。これらは、一見アマチュアにも弾けるような書き方がされていますが、その何でもないようなスタイルの陰に、卓越した芸術性が隠されていることを忘れてはならないですね。
今、カツァリスが比較的最近ライヴ録音したピアノ協奏曲全集を聴き進めています。2台、3台のための協奏曲はすごくよかったです。まだ私の好きな10番台に入ったばかりなので、聴き終えたらご報告しますね。
余計ですが、小島さんもiTunes(最初の3か月無料、その後月980円で聴き放題)をご検討されてはいかがでしょうか?私は一日に音楽を聴く大半はネット配信に切り替えました。音質もパッケージメディアに遜色なく、一気に世界が広がります。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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