2014年04月08日
ブーレーズのワーグナー:ニーベルングの指環(DVD)
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《リング》のような巨大な作品を、CDなりLPなりで聴き通すのは、初心者にはむしろ苦痛といってもいいかもしれない。
実演から入るのがいちばんだと思うが、それにしても舞台での字幕は読みにくいものだ。
筆者がお薦めしたいのは、まずは映像で、この長い作品の構造を把握しておくことだ。
最近はレヴァインやサヴァリッシュなど、いろいろな《リング》がDVDその他で市販されている。
しかしいちばんすぐれているのは、パトリス・シェローが演出し、ピエール・ブーレーズが指揮した、フランス・チームによるバイロイトの実況盤であろう。
ライン河がダムになっていたり、ヴォータンがフロックコートを着ていたりと、最初は物議をかもした上演だったが、結局その後の《リング》演出は、すべてここから始まるという原点となった。
そしていまだにこの映像を超えるものはないと、筆者は確信している。
それは何よりも、演出が音楽そのものの徹底した読み込みから生まれた、きわめて必然的なものだったからだ。
「ワルキューレ」第3幕の、画家ベックリンの「死の島」を模したと思われる岩山など、視覚的な装置としても実に美しく、説得力がある。
管弦楽も、むしろ室内楽的な透明さを目指しながら、しかも迫力に欠けないブーレーズの指揮は、ワーグナーのもくろんだ指導動機の積み重ねによる壮大な音響という構造を、非常によく表していると思う。
歌手も素晴らしい。
ちょっと情けない感じのマッキンタイヤーのヴォータンが、だからこそいまの神々にふさわしく、ジョーンズのひたむきなブリュンヒルデには、心を打たれる。
格好いいホフマンのジークムント、小人役などのツェドニクの快演=怪演ほか、歌も演技も、総じてかなりのレベルの高さである。
べつに「入門」というわけではなく、この映像は《リング》のなかでも傑出したものと言える。
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