2011年04月08日
アルゲリッチ&シャイーのラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番/アルゲリッチ&コンドラシンのチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
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この2つの演奏は、ライヴ録音の魅力をいっぱいにたたえている。
アルゲリッチ特有の、難しいパッセージになるとキュッとテンポを上げるクセはここでも健在で、聴いているほうは手に汗をにぎってしまう。
それでいて、ロマンティックなところは徹底して歌うのがたまらない。
両曲ともフィナーレのド迫力はたいへんすばらしい。
ラフマニノフを弾いてスケールの大きさで男性ピアニストに少しも引けを取らない女流といえば、現在のところ、アルゲリッチにとどめを刺す。
ラフマニノフでもこの女流、"か弱さ"とか"か細さ"といったものとは全く無縁である。
しかもこの女流は、背伸びしてラフマニノフに挑戦しているのでは決してない。
ただ見せかけの豪快さを追っているにすぎないピアニストの演奏は、音も濁り、勢いは失われているものだが、このライヴはそうでない。
きめ細かい清楚な響きを生み出す一方で、スケール大きく豪放に歌い上げてゆく。
圧巻は第3楽章。達者な技巧と晴朗でモダンな感覚の共存が、なんとも快く、見事。
チャイコフスキーは、この天才女流の、いやが上にも燃え立った、生々しい息遣いを伝えて余すところがない。
音楽は絶えずピチピチと飛び跳ねており、リズムは閃き、敏感なセンスは満点、フレーズはバネのようにしなり、ルバートの訴えやものすごいアッチェレランド、魔術をみるような音の弾き分けなど、音楽の意味をつぎつぎと解明してゆく創造力が最高だ。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年11月30日 09:12

2. Posted by 和田 2020年11月30日 10:55
アルゲリッチがコンドラシンの棒によって演奏している白熱のチャイコフスキーは、いささか扇情的な味はありはするものの、やはり忘れ難いですね。アルゲリッチのピアノは、単にライヴだからということだけでなく、多彩な表現力をもっており、その生々しいまでの感性の冴えは何とも素晴らしく、力強さの点でも不足はありません。その閃きに満ちたピアニズムが、聴き手を巻き込んでしまいます。伴奏もどっしりしており、力感あふれるもので、コンドラシンがカラヤンのようにいきり立たず、しっかりとアルゲリッチを支えています。
ラフマニノフは私も小島さんと同様にアシュケナージの最後の録音に惹かれます。オーケストラとの間に醸される充実した空気が何よりも魅力的ですし、アシュケナージがこの曲を完全に手中にし、余裕と豊かなニュアンス表現のうちに振幅の大きいソロを聴かせている点も見逃せません。輝かしく、また張りと潤いにあふれたピアノの音色も魅力的ですが、アシュケナージの演奏には、聴き手を作品の世界に嫌がうえにも導き入れて陶酔させてしまうドラマティックな吸引力がありますし、抒情的味わいも一段と濃く、深く、しかも演奏全体が暖かい点が素晴らしく、十全の円熟味と見事な安定感を示した秀演といってよいでしょう。
ラフマニノフは私も小島さんと同様にアシュケナージの最後の録音に惹かれます。オーケストラとの間に醸される充実した空気が何よりも魅力的ですし、アシュケナージがこの曲を完全に手中にし、余裕と豊かなニュアンス表現のうちに振幅の大きいソロを聴かせている点も見逃せません。輝かしく、また張りと潤いにあふれたピアノの音色も魅力的ですが、アシュケナージの演奏には、聴き手を作品の世界に嫌がうえにも導き入れて陶酔させてしまうドラマティックな吸引力がありますし、抒情的味わいも一段と濃く、深く、しかも演奏全体が暖かい点が素晴らしく、十全の円熟味と見事な安定感を示した秀演といってよいでしょう。