2011年03月29日
カイルベルトのワーグナー:ニーベルングの指環(1955年バイロイト・ライヴ)
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あまりにも素晴らしい演奏なので、改めて紹介させていただく。
1955年のバイロイト音楽祭でのライヴ。
最近、放送音源などによるライヴ録音の発掘が積極的に行われているが、これは英デッカによる正真正銘「正規」録音である。
上演の模様を鮮やかにとらえたオリジナル・ステレオのサウンドが素晴らしい。
そして、聴きものは、まずカイルベルトの指揮。
その生々しい迫力に満ちた演奏を聴くと、この往年のドイツの名指揮者の実力と魅力を思い知らされる。
忘れるには惜しい名匠だ。
これは、カイルベルトの残したオペラの録音のなかでも、特筆すべき名盤である。
そして、1950年代から1960年代にかけてバイロイトで活躍した、ヴィントガッセンとヴァルナイという2人のワーグナー歌手の歴史的な共演盤でもある。
2人の名歌手の最盛期の貴重な記録だが、さすがにスケールの大きな味わいの深い二重唱が展開されている。
ヴァルナイの言葉の明晰さ、声の響きの逞しい力、ドラマティックな緊張の鋭さ、そして音楽の生み出す感動に聴き手の心に強く訴えかける真摯さは全く素晴らしい。
かつて、情報の限られていた日本では、レコードで活躍する演奏家ばかりが目立って、そうでない音楽家が不当に過小評価される傾向があった。
このヴァルナイなどはその代表格であろう。
後発のニルソンの華々しい録音活動にかくれてしまったが、1950年代のバイロイト音楽祭では最高のブリュンヒルデ歌いであった。
筆者には、直線的な威力で聴かせるニルソンより、黄金時代の伝統をついで、大きく深く音楽を呼吸させるヴァルナイの歌のほうが、よほど感動的に聴こえる。
このテスタメント盤は、録音機会の少なかった彼女が残した貴重なライヴ録音盤である。
地の底からわきあがって高天にのぼるような、その長大な呼吸を聴くことができる。
ヴィントガッセンにもほぼ同じことがいえ、ジークフリートでの知的な解釈と若々しいヴァイタリティが聴きものだ。
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