2011年03月31日
フルトヴェングラーの『ワルキューレ』第1幕(1952年ローマRAI)
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フルトヴェングラーには現在までに3種類の『ワルキューレ』全曲ディスクがあり、録音年順に辿ると、1950年のミラノ・スカラ座でのライヴ盤、次いで53年ローマ・イタリアsoとの録音、そして54年のつまり彼の逝く年に録音されたウィーン・フィル盤である。
そこに第1幕だけであるが、1952年のローマRAIでの演奏が加わった。
案に違わずそのいずれもが、フルトヴェングラーの高貴なロマンティシズムに裏打ちされた感銘深い演奏であり、オペラ全曲あるいは『指環』全曲のドラマトゥルギーの中から確然と造型された『ワルキューレ』第1幕となっている。
いわば遥か彼方の大団円を見はるかすような巨視的な曲作りである。
ただ志向はあくまでドラマティック。
冒頭の激しい嵐の描出で劇性の伏線を張り、第1場のジークムントとジークリンデとの出会いから第2場フンディンク絡みのシーンまでを幾分静的に描き、第3場以降を加速度的に盛り上げ、激しくて深いクライマックスへと煽り立てる。
言うまでもなく第3場のドラマーティクに主軸を置いた音楽作りである。
それが最も尖鋭に感じられるものとしてスカラ座盤を挙げようと思うが、歌手陣を考え合わせるとイタリア放送so盤、オーケストラの良さではウィーン・フィル盤ということになろうか。
この1952年ローマRAI盤の演奏には生き生きとみなぎる劇的な力と雄弁さ、凄まじいまでの表現力、そして独得の白熱と高揚があり、フルトヴェングラーの気迫と精神力にはただ驚くばかりだ。
歌手ではジークリンデ役のコネツニがやや軽いが若々しく可憐だ。
『ワルキューレ』第1幕には、ワーグナーが生涯書いた最も美しいページが数多くあるが、このCDは、フルトヴェングラーの『指環』全曲の名演の一端を知る上で恰好のものといえるだろう。
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