2011年04月05日

ケーゲルのブリテン:戦争レクイエム


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この《戦争レクイエム》の録音からほどなくして、ヘルベルト・ケーゲル(1920-90)は自殺した。

旧東独にあって果敢にも前衛作品を擁護したケーゲルが、旧東独の崩壊直後、自らの命を絶ったのは今では謎である。

小説家で自ら命を絶つのは数多けれど、指揮者でピストル自殺なんて本当に珍しいのは、おそらくこの職業が人をも恐れぬ鉄面皮でなくてはやっていけないからだと思うが、ともかくケーゲルはひどい躁鬱だったらしい。

いわば芸術的遺言となってしまったこの録音は、何らかの暗示なのだろうか?

それを汲み取れとばかりに演奏は鋭く、厳しい。

怒りに憑かれたようなこの演奏には寒気を感じるが、聴き手を滅多にない音楽体験に浸らせる。

目が血走ったような熱狂と、見るものを石に変えてしまうような冷やかさが同居し、こんな演奏が表す心象風景とはいかなる地獄図だったのかと思って、ケーゲルに共感させられてしまうのだった。

キビキビとした声楽パート、しかしヒタヒタと胸を打つ歌わせ方だ。

声楽を伴った交響作品には見事な手腕を発揮したケーゲル(マーラーやノーノの名演を聴け!)の持ち味と力量が全開した観。

名演の多い同作品だが、この演奏は「オレは命をかけたんだぜ」とばかりにニラミを利かせる。

ケーゲルは不滅だ!!

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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