2011年04月10日
ケーゲルのベルリオーズ:幻想交響曲
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ケーゲルは東独の指揮者には珍しくレパートリーが広く、ストラヴィンスキーをはじめ、ヒンデミット、ヴェーベルン、ノーノなども録音しているが、フランスものはこれが初レパートリー。
典型的なドイツ風な演奏でも、この曲が充分説得力のあるものであることを立証した1枚。
ベルリオーズは、リスト、ワーグナーに通じるロマン主義音楽の始祖であって、後世への影響を考えれば、このような解釈があっても不思議はない。
全体に重く、暗い印象が伴うのはその1つの表れだ。
ともかく暗い音楽を聴いてのたうちまわりたい人にはあの世に脚を一本つっこんでいるかのような演奏が超印象的なこの録音を推薦。
ベルリオーズをフランス音楽のアングルからばかり捉えてきた考え方に対しては警鐘となる演奏であり、幻想交響曲の1つの在り方を示唆した録音だ。
ケーゲルは、ロマン的情熱のかけらもなく、常ながらの死体的音楽を展開する。
死体的音楽とは有機的連関を欠いた音楽ということ。
死体は、生の有機性を失い、無機物と化しているゆえ死体であり、ケーゲルの《幻想》も、音楽をタテにもヨコにも細分化し、個々の響きを扱いぬこうとする姿勢に於いて、まぎれもなく死体的である。
おまけにこの録音、終楽章の鐘の音が怪しい。錆びついた大鐘を無理やりぶっ叩いたような感じの響きがする。とにかく澱んで濁った大きな音だ。
というわけで、ケーゲルの《幻想》は結局、死体のように無機的に鳴り続ける管弦楽と怪奇な大鐘の響きの織り成す、この上なく猟奇的な一編となる。
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