2011年04月13日
カーゾン&セルのブラームス:ピアノ協奏曲第1番
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カーゾンが遺した名演ぞろいの協奏曲録音の中でも断然の金字塔。
カーゾンのタッチの美しさは称賛され尽くしたと言っても過言ではないが、ここには加えて情熱の輝きと力強さがある。
第1楽章での和音の純度の高さと逞しさには惚れ惚れとさせられるし、一転して第2楽章の弾き始めからの柔らかな響きには繊細だが豊麗なイマジネーションにあふれている。
セル=ロンドン響の演奏がこれまた稀有の高みに達した大変なもの。
私はセルの録音を体系的に隈なく聴いてきたわけではないけれど、どうして彼は、クリーヴランド以外のオケを振るとこんなに良いのだろう。
驚くほど充実した響きで、表現にはいささかの弛緩はなく、深々とした美しい歌はスケールが大きい。
この曲で成功するか否かは、オーケストラの連中がどれだけ「この曲の主役は俺たちだ!」と思うかにかかっているのではないか。
この演奏を聴いていると、いつもそう思う。それくらい、このオケパートの充実ぶりは凄いのだ。
そしてその分厚いオケに対抗する、カーゾンのタッチが強靭で、なおかつ澄みきっていることと言ったら!
CDを聴いているのに、まるで音楽が生まれているその場に立ち会っているような緊張感があるのも素晴らしい。
そしてフィナーレで両者はどこまでも凛々しく、ついには白熱の光芒を放つ。
全曲通じてまったく間然とするところがない奇跡的な名演だ。
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コメント一覧
1. Posted by げん玉 2011年04月13日 20:52
名曲ですね〜♪
感動しました☆
感動しました☆
2. Posted by 和田 2011年04月13日 21:44
それはよかった!
3. Posted by 小島晶二 2020年12月05日 09:23

余談ですが,バルトークのピアノ協奏曲1番(シフ),2番(ポリー二),3番(アルゲリッチ)を聞きました(残念ながらアンダの演奏は未聴)。ピアノを打楽器的に扱う1番は以前聞いた記憶があります。3曲中ではアルゲリッチの3番が素晴らしいと感じました。何れも独特の哀愁と慟哭が感じられ,ハンガリーの暗黒史を実感するような気分になりました。でも全曲特に2番は良く言えばエネルギッシュ,悪く言えば喧騒感が強く,再度聴きたいという気分にはなれませんでした。
4. Posted by 和田 2020年12月05日 12:03
1982年に75歳で世を去ったイギリスのピアニスト、カーゾンは、レコーディングの数が少なく、その実力のわりには日本ではあまり知られてませんでした。モーツァルトの協奏曲を集めたディスクはそうしたこの人の真価を、十二分に伝えた名演奏です。特にブリテンとの第27番は折り紙つき。この曲は「短調の協奏曲にみられるように、情熱的でなく、ひたすら諦観へと傾いていった」というアーベルトの言葉を思わせるように、典麗優雅なこの作品の内面にひそむ哀感を、すこぶる繊細な弱音効果を生かしながら、てんめんと表出した演奏です。作曲家として名高いブリテンの精妙な指揮も、心に熱く訴えかけてきます。その他では第24番が美しく、清水のように透明な音色を基本に弱音を重視し、しっとりとした女性美を展開しますが、何気ない虚無感の中から、モーツァルトの音楽が哀しいばかりの魅力を伴って流れてきます。ピアニストの存在を忘れさせる演奏で、それにはケルテスの指揮も大きな力になっています。他の曲も同じスタイルによるものです。カーゾンにはクーベリックと共演したライヴがauditeから出ていましたが、そちらも名演です。
蛇足ですが、バルトークのピアノ協奏曲はアンダ&フリッチャイで聴いていただかないと真価がつかめません。機会があれば是非!
蛇足ですが、バルトークのピアノ協奏曲はアンダ&フリッチャイで聴いていただかないと真価がつかめません。機会があれば是非!