2011年05月07日

ベーム&ウィーン・フィルのシューベルト:「未完成」(1977年ライヴ)


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この「未完成交響曲」は、ホーエンエムスのシューベルト音楽祭におけるライヴ録音で、会場となった聖カール・ボロメウス教会の残響はじつに美しく、その中でベーム、ウィーン・フィルが極端に遅いテンポで大演奏を繰り広げているのである。

第1楽章冒頭のバスのモノローグと、それに続くヴァイオリンのさざ波を聴いただけで、そのただならぬ雰囲気に圧倒される。

その後の管のソロも弦のカンタービレも絶美だが、展開部冒頭で、バスがディミヌエンドしながら奈落の底まで下降し、今度はそこからヴァイオリンがピアニッシモから湧き上がっていくときの緊張感と、音楽が頂点に達した際の感情の爆発は、正直いって恐ろしいほどである。

こんなにスケールが大きくてかつ凄みがあり、それでいて美しい第1楽章は他にありえない。

第2楽章はなんといっても、弦の神秘的なシンコペーションにのって歌い交わすクラリネットとオーボエのソロが、夢のような残響を伴ってひたすら美しい。

そして優しくソロが終わろうとするところに突如踏み込んでくるトゥッティの無情さ!

しかしやがて音楽は浄化され、諦念へと至るが、その神秘感のみごとさ!

深沈として雄大、83歳ベームの傑作となった。

こんな《未完成》を聴かされたら落ち込んでしまうに違いなく、気分を前向きにさせるには、交響曲第9番《グレート》の偉大さを待たなければならない。

ちなみにこの日の2曲目はその《グレート》で、これまた圧倒的な豪演であった(METEORという海賊盤で聴くことができる)。

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コメント一覧

1. Posted by 水口 峰之   2011年05月22日 17:34
この演奏会は子どものころFMで聞いて、とても感動したのを覚えています。おっしゃるようにスケールがとてつもなく大きい一方、なんともいえない侘しさもある素敵な「未完成」ですよね。
「未完成」もさることながら「グレイト」の雄大さに圧倒された記憶があります。しばらく他の演奏を聴きたくないぐらいでした。そうなんですか。この日のグレイトも一応はディスクが出てるんですね。

最近ではめったにCDを買ったりする事はないのですが、あの演奏に再会できるかもしれないと思うと久々に探してみようかなあ、という気もします。
2. Posted by 和田   2011年05月22日 19:17
ベームは策をもてあそぶ指揮者ではありません。
いつも自然体を重んじているかのような演奏ぶりです。
ここでもおおらかに高揚し、おおらかに沈静して、シューベルトの生命を巧まずして魅力的に引き出し、作品に誠実な指揮者であるとのイメージを強めています。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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