2011年05月01日
ショルティ&ウィーン・フィルのワーグナー:管弦楽曲集
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ショルティによるワーグナーの前奏曲や序曲を中心とした1枚で、ショルティ初のオリジナル・ワーグナー/管弦楽曲集であった。
録音は1961年と65年、すなわちショルティがウィーン・フィルによって《指環》全曲レコーディングの金字塔を打ち立てていた時期と重なる一盤。
おそらくこの曲集は、ショルティのワーグナー・アプローチのひとつの原点を示すものであると同時に、彼のワーグナー観の最も説得力あるエッセンスではあるまいか。
オケの良さのためもあって、彼のワイルドで強引な指向は、むしろスケールの大きなダイナミズムへと転化され、切迫した激しい表出はより総合的サウンドへと融解している感。
のちのシカゴ響とのワーグナー集などと比べると一層その感を強くする。
総じて良い出来映えで、とくに《タンホイザー》序曲や《さまよえるオランダ人》序曲などは屈指の出来映え。
《タンホイザー》序曲は情感豊かで、いかにもショルティらしい線のきつい明快な表現だが、そのニュアンスのつけ方が実に巧い。
《リエンツィ》と《さまよえるオランダ人》はそれぞれダイナミックで男性的な表現だ。
ウィーン・フィルもさすがに巧く、オーケストラのもつ特質がそれぞれにいきているのも事実だし、ショルティの音楽の深さも見逃せない。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年12月23日 09:19

2. Posted by 和田 2020年12月23日 13:15
私もショルティのチャイコフスキーの後期交響曲に着目していました。第4番は空前の名技集団シカゴ響が、ショルティの完璧なドライヴで胸のすくような快演を聴かせます。しかもその表現は決して外面的な技術巧緻性だけにとどまらず、内面的な作曲者の心情への共感をも十全に伝えています。一分の隙もないアンサンブルなど、ショルティの設計は隅々に至るまで行き渡っており、全4楽章がきわめて平衡感の強い造形と響きでまとめられている点も見事で、円熟した巨匠の芸を感じさせます。第5番はあらゆる点で均衡のとれた、模範的といってよい演奏です。管・弦のバランスやアンサンブルはまず申し分なく、ショルティの解釈も適度に客観的で、実に平衡感の強い造形です。万人向きという点ではこれに勝る演奏はでしょう。「悲愴」は寸分の隙もない純音楽的な表現ですが、音と音楽は隅々までふくよかに磨かれ存分に歌い、音楽は常に流麗そのものです。しかもショルティは全4楽章を通じて瑞々しい感受性でひたすら作品の内奥に迫っており、表面的になることがありません。したがって終楽章も強い共感が示されており、同時に作品の立体的な音構造を解明しています。もっと注目されてよい秀演だと思います。