2011年04月26日
カラヤンのブラームス:ドイツ・レクイエム(1976年盤)
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カラヤンがブラームスの《ドイツ・レクイエム》に示した愛着の深さは、その生涯にこの作品を映像を除いて5回も録音しているというところにも、見出すことができよう。
そのいずれを選ぶかは、その年代に大きな幅があり、録音の質も変わってきているので一概には言えないが、最初の1947年の録音に次いで、この3回目となる1976年の演奏が挙げられてもよいであろう。
そこでもカラヤンは、本質的な宗教性を強調しようとするよりも、そのユニークな構造性とロマンティシズムを通じて、ひとつのドラマを歌い上げようとしているかにみえる。
しかも、最初の録音よりもはるかにその演出力が強まっているようにみえるのが、ひとつの特徴ともいえそうだ。
カラヤン独特の完全主義からくる美意識の前に、ブラームスは余りに磨かれ、美しすぎるという思いはある。
こんな流麗な、こんな劇的なブラームスがあってもいいのか?という思いが楽章ごとに頭を過ぎる。
しかし、後半に移るころにはもうカラヤンの手中におちてしまっている。
これがカラヤンのすごさだろう。
ある種の魔力がこの演奏の中に潜んでいるようだ。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年12月18日 09:32

余談ですが,私もモーツァルトのピアノ協奏曲24番には惹かれます。でもハスキル/マルケヴィッチ盤は余り評価しません。マルケヴィッチの指揮が野暮で大味だからです。今でもこの曲はバレンボイムが最高だと思っています。以前お伝えした様に,ザルツブルグ音楽祭でのウィーンフィルとの弾き振りが素晴らしかったのですが,ベルリンフィルとの新盤で我慢するしかありません。あとカーゾン/クーベリックのライヴ盤が絶品と聞いていますが,残念ながら未聴。和田さんは聞かれましたか。私も最近15番に目覚めました。録音を含めてこの曲では内田光子/テイト盤の秀麗な演奏がベストだと思います。成熟した美しさにため息が出ます。
2. Posted by 和田 2020年12月18日 12:00
クリフォード・カーゾンが極端なほどに録音嫌いでなかったとしたら彼の国際的名声も我が国に届いたでしょうに、ようやくライヴ録音をOKした1982年の9月1日に彼は卒然として世を去ってしまいました。クーベリックとの一連のモーツァルト協奏曲ライヴ録音も没後リリースされ、クーベリックもすでに在世していませんでした。第24番はいささか孤高で控え目、クールに洗練されたカーゾンの演奏は完璧なバランスと美しく歌うピアノの音によって支えられています。カーゾンのソロは、今日の数多くのヴィルトゥオーゾたちに比べるとテクニックの点で聴き劣りする部分はありますが、1つ1つの音に手応えのある表現の温かさという点ではこれほどの音楽を聴かせてくれるピアニストはほとんどいません。デモーニッシュな側面を強調することなく、真の情熱が底から湧いてくるところが何とも言えない魅力なのです。激しい想いを秘めたクーベリックの付けもカーゾンのピアニズムに快くマッチしています。そう言えばブリテンとの第20番も第1楽章冒頭のシンコペーションからして密やかなドラマを秘めた豊かな表情があり、聴き手を一瞬にしてこの協奏曲のドラマへ引き込む説得力を持っていました。